LEDテールランプに交換すると、純正電球との消費電力の違いによって車両側がバルブ切れと誤認識し、ハイフラッシュ現象が発生することがあります。特に大型車やトレーラーのような特殊車両では、メーター表示やCAN通信の影響も複雑に絡み、解消が難しいケースも少なくありません。本記事では、三菱ふそうスーパーグレイトなどのトラックでLEDテール導入時に発生するハイフラ対策について、実例を交えて解説します。
ハイフラ現象が発生する理由とは?
ハイフラッシュは、本来電球切れを知らせるための機能です。LEDは消費電力が非常に小さいため、車両側が「バルブ切れ」と誤認し、ハイフラを起こします。
特に最近の車両はCAN通信や自己診断機能が搭載されており、テールやウィンカーの消費電力の差が電子的に検出されることで、メーター上だけに異常が出るパターンも存在します。これは外見上の点灯が正常でも、車両が内部的に異常と判断している状態です。
キャンセラーの役割と種類
キャンセラー(ハイフラ防止抵抗)は、電球相当の電力を消費することで「正常な負荷」を作り出し、車両側に誤認識させないようにする装置です。主に以下のようなタイプがあります。
- 抵抗式(セメント抵抗など):シンプルで安価。高温になるため取り付け場所に注意が必要。
- カプラーオン型:専用設計で配線加工が不要。車種別設計が重要。
- 電子キャンセラー:一定の電圧制御やパルス制御を行うタイプ。CAN通信対応車には有効な場合も。
抵抗値はおおよそ21W球換算で6Ω程度が目安ですが、トラックやトレーラーでは27Ωや33Ωなど高めの抵抗値を使うケースもあります。
取り付け方法のチェックポイント
キャンセラーを途中の配線に「エレクトロタップ」で割り込ませる手法は一見簡便ですが、接触不良や抵抗値の正確な流入が阻害されることがあります。特にトラックは電装がシビアなため、接続方法にも注意が必要です。
可能であればハンダ付けか、防水圧着端子での接続が望ましいです。また、アース側の接続が不十分だったり、塗装面に取り付けていると導通が不安定になり、効果が発揮されません。取り付けは「金属むき出しのフレームボルト」や「既存のアースポイント」に行うようにしましょう。
三菱ふそう17スーパーグレイト特有の注意点
2023年式以降の三菱ふそうスーパーグレイトは、ウィンカーの監視に「メーター信号独立検知」方式を採用している可能性があります。この方式では、灯火の実負荷よりも、ECUからメーターに送られるデータに基づいて異常表示が出ることがあります。
この場合、通常の抵抗キャンセラーではメーター側の誤検出を完全に防げない可能性があり、CAN制御対応の高機能キャンセラーまたは車両プログラム側での再設定が必要なこともあります。ディーラーに相談し、「外部LED接続によるハイフラ表示抑制が可能か」確認するのも選択肢の一つです。
実例:キャンセラーを交換しても改善しなかったケース
ある事例では、小糸製流鏑馬テールにキャンセラーを取り付けたものの、3種類(小糸純正/ジェットウォーニング30Ω/モノタロウ27Ω)すべてで改善せず、メーター上のみハイフラが残ったという報告がありました。
原因は「アース不良」や「抵抗値のアンマッチ」ではなく、三菱ふそう側の電装仕様の違いによるものでした。このようなケースでは、市販キャンセラーだけでは限界があり、専用診断機を使用して設定変更またはオプション配線変更が必要なことがあります。
まとめ:ハイフラ現象の改善には正しい知識と検証が不可欠
LED化によるハイフラ対策は、ただキャンセラーを取り付けるだけでは解決しないことも多くあります。特に大型トラックやトレーラーでは、車両側の電装仕様や制御方式に注意しなければなりません。
正しい抵抗値・確実な接続・適切なアース・制御方式の理解がカギとなります。改善しない場合は、ディーラーまたは専門業者に相談し、CAN制御や診断機での設定確認を行うのが最善策です。
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