カスタムカーの世界では見た目のインパクトや空力性能向上を目的に、リアスポイラーを大型化するケースが増えています。しかし、リアバンパーを超えるようなスポイラーが公認車検に通るのは一般的には難しいと考えられています。この記事では、実際に公認を取得している車両の事例や、どのようにして合法化が可能なのかを解説します。
車検における車両全長と突起のルール
日本の道路運送車両法では、車両の全長や突起物について明確な基準が定められています。基本的に、改造によって車両全長を超えるパーツを取り付ける場合、構造変更申請(いわゆる公認申請)が必要です。
また、「突起規制」により、歩行者への安全配慮から鋭利な形状や硬質な突起物は認められないことがあります。よって、スポイラーの素材や形状も車検通過のカギになります。
公認車検とは何か?
公認車検とは、カスタム・改造車が通常の基準を超えて変更されている場合に、陸運局で構造変更検査を受けて合法化する制度です。構造変更検査に合格すれば、車検証にも「変更後の寸法」や「特記事項」が記載されます。
リアスポイラーがバンパーを超えている車両であっても、この構造変更を通せば合法的に公道走行が可能になります。
どうやって公認を取るのか?
リアスポイラーなどの改造で構造変更を取る場合、以下の手順が一般的です。
- 事前に陸運局へ相談(事前審査制度も活用可)
- 改造内容に基づいた図面・寸法図を作成
- 自動車検査法人(車検場)で構造変更検査を受検
- 必要に応じて強度計算書や素材証明書を提出
- 車両寸法の変更を車検証に反映
とくにリアスポイラーが車体寸法を超える場合、素材の柔軟性や取り付け方法が問われることがあります。たとえば、万が一接触しても衝撃を和らげる材質(ABS樹脂やウレタンなど)であること、角が丸く安全性が確保されていることが必要です。
実際に公認が取れている車両の事例
たとえば、ドリフト競技用の改造車両では、市販のGTウイングを装着し、全長をオーバーしているにも関わらず、構造変更検査に合格した例があります。これらは、スポイラーの固定がしっかりしている、素材が柔らかく丸みを帯びた設計である、安全基準に照らして問題がないと判断されたことによるものです。
また、ディーラーや改造車専門のショップが申請を代行してくれるケースも多く、プロの手を借りることで成功率が高まります。
注意点と失敗しやすいポイント
公認が取れないケースには、以下のような理由があります。
- 素材が金属製で鋭利なデザイン
- 固定が不十分で走行中に外れるリスクあり
- 図面の不備や申請書類の不足
- 一時的な取り外しが前提(ボルトオン式など)で常時装着とみなされない
とくにスポイラーは見た目以上に「安全性」が問われるパーツであるため、しっかりと法規に基づいて対処する必要があります。
まとめ:リアスポイラーの公認取得は可能だが準備が重要
リアスポイラーがリアバンパーの長さを超える場合でも、素材・取り付け方・安全性・申請方法を正しくクリアすれば、構造変更を通じて公認取得は可能です。むやみに取り付けるのではなく、法令や申請手続きを理解したうえで、専門業者と連携しながら進めることが成功への近道です。
車検対応を目指すなら、見た目のインパクトと法的要件のバランスを取りながら、安全・合法なチューニングを心がけましょう。
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