車のタイヤに関して、「整備工場では問題なし」とされたのに、タイヤ専門店では「交換できない」と判断されるケースは少なくありません。この違いは何に起因するのか、利用者が混乱しないよう詳しく解説していきます。
法定点検とタイヤ屋のチェック基準の違い
法定点検では国が定めた点検項目に基づき、車両全体の安全性を評価します。タイヤに関しては主に残り溝や明らかな損傷の有無がチェックされ、ひび割れや経年劣化も見られますが、安全走行に支障がなければ「問題なし」と判断されることが一般的です。
一方、タイヤ専門店は商品としてのタイヤの「品質」「信頼性」「作業安全性」など、よりシビアな基準を適用します。ヒビや細かな劣化があるタイヤは、交換後のトラブルを避けるため、店側の判断で「作業不可」とされることもあります。
「ビビ(ひび割れ)」の判断が分かれる理由
タイヤのビビとは、ゴムの経年劣化により生じるひび割れです。側面に出る浅いビビであればすぐに問題にはならないこともありますが、トレッド(接地面)に出た深いビビはバーストの危険性もあるため、専門店では非常に敏感にチェックされます。
一方で、整備工場ではビビの程度が軽微であれば「注意は必要だが、まだ使用可能」と判断される場合もあり、点検時には「経過観察」とされがちです。
なぜタイヤ屋では「交換できない」となるのか
タイヤ専門店は「交換作業の安全性」と「販売後の責任」が重要です。万が一装着したタイヤに問題が発生すれば、店舗が責任を問われる可能性もあるため、少しでも不安材料があるタイヤは作業を断る方針を採る店が多くあります。
また、ヒビがあるタイヤを交換した場合、組み換え中にビード破損やエア漏れが起きるリスクがあるため、作業そのものを拒否されることもあります。
整備工場の点検合格=全ての作業OKとは限らない
法定点検に合格したということは「公道を走れる最低限の安全性」があることを示していますが、それはあくまで点検時点での話です。
整備工場では使用者の判断に委ねるグレーゾーンについては明確に「NG」とは言わない場合があり、タイヤのビビに関しても「走行は可能、ただし交換は推奨」という立場を取ることがあります。
実際にあったトラブル回避のための判断例
あるユーザーがタイヤ専門店で「ヒビあり、交換不可」と断られた後、整備工場に持ち込んだところ「使用可能」とされた事例があります。しかし、その後高速道路でトレッド剥離が発生し、危うく事故に繋がりそうになったケースも。
このように、専門店の「厳しい目」は時にユーザーを守る判断となる場合があります。店舗によって基準に差はあるものの、最もリスクの少ない選択を促しているとも言えます。
まとめ:どちらの判断も「正しい」、だからこそ確認を
整備工場とタイヤ専門店では、それぞれの目的と責任範囲が異なるため、同じタイヤに対して異なる判断が下されることがあります。
「なぜ断られたのか」が気になる場合は、店舗スタッフに具体的な理由を尋ねましょう。また、2~3店舗を回って意見を聞くこともトラブル回避につながります。判断に迷ったときは、日本自動車タイヤ協会(JATMA)のガイドラインも参考にするとよいでしょう。
コメント