自動車のフルモデルチェンジには、一般には想像以上の長い開発期間がかかります。この記事では、開発の流れや90年代との比較、現在の開発スパンの特徴まで詳しく紹介します。
フルモデルチェンジの準備は何年前から始まるのか?
車のフルモデルチェンジは、発売日の4〜6年前から準備が始まるのが一般的です。最初に市場調査や次世代車のコンセプトが検討され、そこからデザイン案の作成や技術検証、モックアップ制作、試作車走行などへと進んでいきます。
たとえばトヨタの新型プリウスでは、2015年のモデルが登場する5年以上前から企画チームが動き出していたと言われています。グローバル展開の車種になるほど、企画立案は早期から始まります。
開発工程の流れと各フェーズ
開発スケジュールはおおまかに以下のように構成されます。
- 企画・市場調査(〜5年前):競合や顧客ニーズの分析
- デザイン・設計検討(〜4年前):内外装・エンジンなどの技術仕様を検討
- 試作・評価(〜2年前):プロト車を用いて実走行テスト
- 量産準備(〜1年前):生産ラインの構築、部品の調達など
この間、衝突安全や排ガス規制、電子制御システムなど多様な法規・性能要件にも対応していく必要があります。
90年代と現在で開発スパンはどう変化した?
1990年代は、車のモデルチェンジ周期が4〜5年程度と比較的短めでした。技術革新が速く、販売競争も激しかったため、モデルチェンジで定期的な新鮮さを保つ必要があったためです。
一方、現代は6〜8年ほどの開発スパンが主流になりつつあります。理由は以下の通りです。
- 開発コストの増大
- グローバル展開による開発規模の拡大
- 法規制や安全基準の複雑化
- 品質や耐久性への要求の高度化
そのため、現代ではプラットフォームを長く使い回す「モジュール構造」が進み、1つの車台で複数車種をカバーする戦略も増えています。
開発期間が長期化する背景と今後の見通し
近年では電動化(EV)や自動運転技術の導入もあり、さらに開発が複雑化しています。ソフトウェア更新によって発売後の進化も想定されるため、車両設計も“柔軟性”が求められるようになっています。
将来的には「フルモデルチェンジ」という概念そのものが薄れ、定期アップデート型の車両が増えるとも予想されています。
まとめ:モデルチェンジを理解すると車選びが変わる
フルモデルチェンジは単なる「見た目の刷新」ではなく、数年にわたる膨大な技術と資金投入によって生み出されます。時代の変化に応じて開発サイクルも進化しており、今後はさらに柔軟な進化型の車が増えるでしょう。
購入検討の際には、モデルチェンジのタイミングや背景を知っておくと、より納得感のある選択ができます。
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