1990年代後半、400ccクラスのスポーツバイクは激戦の時代を迎えていました。その中で「公道最速」と評されたモデルがスズキのSV400です。Vツインエンジン搭載で、独自の加速性能を武器に名を馳せた一台。果たしてその実力は、CBR400RRやVFR400Rといった4気筒レプリカモデルを超えていたのでしょうか?
SV400の基本スペックと注目ポイント
SV400(1998年式)の主要スペックは以下の通りです。
- ● エンジン形式:399cc 水冷V型2気筒DOHC
- ● 最高出力:53ps/10,000rpm
- ● 最大トルク:4.2kgf・m/8,000rpm
- ● 車両重量:159kg(乾燥)
- ● 0-100km/h加速:約3.9秒
加速性能は400ccクラスとしては非常に優秀で、特に中低速域のトルクの太さが光ります。街乗りやワインディングでの加速感は多くのライダーに好評でした。
V型2気筒と直列4気筒の違いとは?
SV400のようなVツインは、低中速域での力強さと独特のフィーリングが魅力。回転の立ち上がりが早く、クラッチミートから瞬時に加速できる特性があります。
一方、CBR400RRやVFR400Rなどの直列4気筒は、高回転域での伸びが特徴。サーキットなどの高速度域ではこちらが優勢です。
ライバル車との加速性能比較
当時の400ccスポーツバイクの0-100km/h加速を比較すると。
モデル | 0-100km/h加速 | 備考 |
---|---|---|
SV400 | 約3.9秒 | Vツインのトルクが強み |
CBR400RR | 約4.2秒 | 高回転型でサーキット向き |
VFR400R | 約4.0〜4.3秒 | V4エンジン搭載の異端児 |
CB400SF | 約4.3〜4.5秒 | 実用性重視の万能型 |
この結果からもわかるように、SV400は中低速の瞬発力においては他のモデルに対してアドバンテージがあり、実用域では最速に近い存在でした。
なぜ「公道最速」と呼ばれたのか?
2000年前後の日本の高速道路ではバイクの法定速度は80km/hに制限されており、高速域での性能よりも0-80km/hの加速力が重視されていました。
SV400はその法定速度内での加速でライバルを凌駕し、加えて軽量なボディと操縦性の良さもあって、「実際の走行環境で速く感じる」バイクとして多くの支持を集めていました。
SV400とCB400SFはどちらが速い?
CB400SF(スーパーフォア)は直列4気筒ながらトルクが細めで、0-80km/hの加速においてはSV400に分があるとされています。特に1990年代後半のNC31型はスペック上でも劣る部分がありました。
しかしCB400SFはVTEC搭載以降、後期モデルでは加速性能も向上しており、SV400の加速に肉薄する性能を持つようになっています。
まとめ|SV400は実用加速域でこそ真価を発揮する最速マシン
SV400は400ccクラスの中で突出した加速力を誇り、特に日常の走行シーンでは他のレプリカモデルよりも「速く感じる」バイクでした。公道における実用性能で最速と評価された背景には、法定速度と使用環境のマッチがありました。スペックだけでは測れない実走性能の高さ、それがSV400の魅力です。
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