エンジンの修理やチューニングで、シリンダーやシリンダーヘッドカバーの交換を検討している方にとって、「構造変更の申請が必要かどうか」は気になるポイントです。排気量が変わらない場合でも、部品の変更によっては届出や検査が必要になることもあるため、正しい知識を身につけておくことが重要です。
エンジン交換と構造変更申請の基本的な考え方
道路運送車両法では、自動車の主要構造部分を変更した場合には「構造等変更検査」が必要になります。主要構造部分にはエンジン、車体、サスペンションなどが含まれます。
しかし、すべての部品交換が対象となるわけではなく、「車検証に記載された内容」に変更が生じるかどうかが判断基準になります。たとえば、排気量や燃料種類が変わらなければ、基本的には申請は不要です。
シリンダーヘッド交換は構造変更に該当するか?
シリンダーヘッドやカバーの交換は、エンジン本体を載せ替える「エンジン載せ替え」とは異なり、同一形式のエンジン内の部品交換にすぎません。排気量が変わらず、同型式のエンジンである場合は基本的に構造変更申請は不要です。
ただし、改造の程度がエンジン形式の変更に該当する場合(例:他形式のシリンダーヘッドを流用したり、仕様変更により燃費・出力等が大幅に変化する場合)は例外です。
変更が必要になる代表的なケース
以下の場合には、構造等変更検査や申請が必要となる可能性があります。
- 排気量の変更(例:ボアアップ)
- 別型式のエンジンへの換装
- 燃料種類の変更(例:ガソリン→LPG)
- 改造により自動車検査証の記載内容が変わる場合
このような改造は、申請を怠ると違法改造とみなされ、車検を通せないリスクもあるため注意が必要です。
手続き不要でも整備記録はしっかり残そう
申請が不要な場合でも、整備記録簿への記載や部品の製品情報の保存は必ず行いましょう。車検時や将来的なトラブル対応の際に、正規の整備であることを証明する材料となります。
また、万が一車両火災や事故が発生した際に、整備履歴の有無が保険の支払い可否に影響するケースもあるため、記録の管理は重要です。
不安な場合は陸運局または整備工場に相談を
判断が難しいケースでは、最寄りの運輸支局や認証整備工場に相談しましょう。部品の適合性や法的な手続きの要否について、個別の事情を踏まえた正確なアドバイスが得られます。
特に社外パーツを使った改造や、エンジン形式が微妙に異なる場合などは、申請が必要になることもあるため、事前確認が安心です。
まとめ:排気量が同じであれば基本的に申請不要。ただし例外も
シリンダーやシリンダーヘッドカバーの交換のみで排気量やエンジン形式が変わらない場合、原則として構造変更申請は不要です。ただし、仕様変更の度合いや使用する部品によっては例外もあります。
不安な場合は事前に専門機関に確認を取り、合法的な整備を行うことが大切です。安全と安心を確保しながら、クルマの性能向上を目指しましょう。
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