後輪駆動車の空回りと回転速度差の理由とは?

車検、メンテナンス

後輪駆動車をジャッキアップした状態でドライブにギアを入れ、後輪が空回りする現象は意外と多くの車両で見られます。特に、左右の後輪の回転速度に差が生じることがありますが、これは一体どうしてなのでしょうか?この記事では、その理由と仕組みについて詳しく解説します。

1. 車の駆動方式とギアの関係

後輪駆動車では、エンジンの力が後輪に伝わり、車を前進させる仕組みです。この場合、ギアボックスからの力が差動装置(デファレンシャルギア)を通じて左右の後輪に分配されます。

差動装置は、車がカーブを曲がる際に左右の後輪に異なる回転速度を与えるため、左右のタイヤの回転速度差を調整します。これは、左右のタイヤが異なる距離を移動するからです。直進時でも、回転速度に差が出る理由が存在します。

2. 差動装置の働きと左右の回転差

差動装置は、車両の動力を左右のタイヤに適切に分配しますが、ジャッキアップ状態でギアを入れると、左右のタイヤが空回りしてしまいます。これは、差動装置が通常通りの負荷を受けていないため、回転の差が顕著に現れるのです。

具体的には、ジャッキアップ状態では車の全体重量が後輪にかからず、タイヤが地面に接していないため、差動装置が本来の負荷を受けず、自由に回転することになります。この状態で左右の後輪の回転速度に差が出ることは、むしろ正常な挙動と言えるのです。

3. なぜ整備士は問題ないと言うのか

整備士が「問題ない」と言うのは、この現象が設計上の問題ではなく、車の仕組みによる通常の挙動だからです。実際、後輪駆動車の差動装置は、ジャッキアップ状態であっても特に異常を引き起こさないように設計されています。

つまり、ジャッキアップ状態で回転速度に差があるのは、車の駆動システムが意図的に回転差を生じさせているためであり、整備士はその点を理解しているので「問題ない」と判断します。

4. 実際の走行中の挙動との違い

実際に走行中には、差動装置が適切に機能し、地面とタイヤが接触している状態で駆動力が左右のタイヤに伝わります。この場合、左右の回転速度に差が出るのは、車がカーブを曲がる際などでタイヤの回転差を調整するためです。

ジャッキアップ状態とは異なり、走行中はタイヤの接地面から得られるトラクションによって、駆動力の伝達が行われます。したがって、空回りや回転速度の差は発生しません。

5. まとめ: 空回り現象は正常な挙動

後輪駆動車のジャッキアップ状態で見られる左右の回転速度差は、差動装置の正常な挙動によるものです。この現象は、走行中にタイヤが地面と接触している状態とは異なり、車両に負荷がかからないために起こります。

整備士が「問題ない」とする理由も、車の設計上、特に異常ではないからです。車の構造や駆動方式を理解することで、こうした現象が自然なものであることが分かり、安心して車を扱うことができるようになります。

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