近年、日産自動車は社長交代とともに「売れる車」よりも生産体制の効率化と黒字化を最優先に進めている印象があります。この傾向は、特に開発費用などに回す余裕がなくなっているのではと感じる方も少なくありません。では、現在の経営方針や開発体制はどうなっているのでしょうか。
経営再建「Re:Nissan」の全貌
2025年4月に新社長イヴァン・エスピノーサ氏が就任し、大規模なリストラと工場閉鎖を伴う再建策「Re:Nissan」を推進中です。約2万人の人員削減や7つの工場閉鎖により、生産拠点を現行の17ヶ所から2027年までに10ヶ所へ削減する計画です :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
さらに2026年度までに営業利益とフリーキャッシュフローの黒字化を達成する目標を掲げ、約5,000億円規模のコストカットを予定しています :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
開発資金は本当に不足しているのか?
日産はこれまで中国や北米での競争力を失い、EVやハイブリッド戦略でも複数の失敗がありました。特に米国市場でのハイブリッド車の遅れは致命的だったとされ、開発投資が十分行われていなかったとの指摘があります :contentReference[oaicite:2]{index=2}。
社長交代後も、収益改善を優先して投資よりもコスト削減に重点が置かれています。そのため、新車開発やEVなどに割く予算は抑制されている可能性が高いと言えます。
“売れる車づくり”を諦めたわけではないが…
エスピノーサ氏自身は中南米やアジアで豊富な経験を持つ経営者であり、黒字化後に製品戦略を見直す構えです。しかし、現時点では「売れる車」よりもまず盤石な財務基盤の構築が先決とみられます :contentReference[oaicite:3]{index=3}。
販売台数よりも利益率に重きを置く新たな体制のもと、トヨタなど他社のような大量販売よりも、小規模でも利益を出せる構造へ移行中です。
ユーザーにとっての影響と今後の展望
これから登場する新型車においては、デザインや性能面で大きな期待が寄せられます。しかし現実には、リスク回避志向が強く、慎重な投入となる可能性があります。
ただし、2026年以降にRe:Nissan計画が成果を上げれば再び開発力が強化され、将来的には魅力的な新モデル投入の機運が高まると見られています。
まとめ
現状、日産が「売れる車を作る」よりも「黒字体質への移行」を最優先しているのは事実です。大量販売体制よりも利益確保を重視する経営方針は、新社長の元で明確になりました。
とはいえ、開発資金自体は完全に枯渇しているわけではなく、まずは財務の健全化を図った上で、再び開発力を強める可能性も残されています。
ユーザー視点としては、今後登場するモデルと、その前後の経営成果を注意深く見守ることが重要といえるでしょう。
コメント