雪国で積荷を満載したFR(後輪駆動)トラックがチェーンなしで高速走行や旋回、停止をしている様子を見かけると、「本当に安全なのか?」と疑問に感じる方も多いでしょう。本記事では、雪道走行におけるトラックのチェーン使用の必要性を、法的規制・駆動方式の特性・実務視点から丁寧に解説します。
冬の道路でチェーンが法律で求められる条件
国土交通省が定める「チェーン規制」は、大雪特別警報や異例な大雪が予想される時に対象区間に出される特殊な通行規制です。
この規制が出ている区間では、スタッドレスタイヤであっても、チェーン未装着では通行できず、違反すると最高で5万円以下の罰金や懲役の可能性もあります【参照】。チェーンを装着せず走行することは法律違反となり得ます。
FRトラックの駆動特性と雪道の危険性
FR方式は後輪駆動であり、雪道では駆動輪が空転しやすく、特に登坂や旋回時に制御しづらい挙動を示します。雪道走行能力はFFや4WDに比べて弱く、慎重な運転が必要とされます【参照】。
荷物を満載することで駆動輪への荷重が増し発進性能が改善することはありますが、それだけで雪道における安全性が保証されるわけではありません。
チェーンの重要性と装着実務
重量物を運ぶトラックでは、金属製ケーブルチェーンの装着が推奨され、安全対策として必須とされるケースも多いです。【参照】
さらに、雪道では外気温5℃以下や、路面に積雪・凍結の兆候が見られる場合、たとえスタッドレス装着でもチェーンを装着することが望ましいとされています。
荷物満載=チェーン不要ではない理由
確かに荷物を積むことで後輪への荷重が増え、発進時など一部の場面で有利になりますが、雪路では
- 旋回時やブレーキ時のトラクション不足
- 下り坂での制動距離の延長
- 不整地や圧雪時の安定性低下
など、多角的に危険があります。
FR特有の挙動(リアのスライドや後輪のスリップ)はチェーンなしでは回避しきれないケースが多いため、安全運行にはチェーン装着が強く求められます。
実際の運用と現場での判断基準
雪が降り続いている状況や、他のトラックがチェーン装着している場合は、明らかに装着すべきタイミングとされます。
メーカーや業界団体の推奨では、「降雪地域を運行するトラックには必ずチェーン携行を」「大雪予報時はチェーン使用を前提とした判断を」など、安全策が明文化されています【参照】。
まとめ
・雪国をFRトラックがチェーンなしで飛ばすケースがあるのは事実でも、それは安全性や法令適合の観点から推奨される行為ではありません。
・チェーン規制が出ている区間では、スタッドレスタイヤだけでは通行できず、チェーン装着は法的義務になります。
・FR車は積載による荷重増加だけでは雪道での安定性に限界があり、チェーン装着が最低限の安全対策です。
・雪道を走るなら、チェーンの携行と装着の準備を怠らず、気象・道路情報に応じて判断することが大切です。
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