バイク漫画「ばくおん!!」では、スズキ・カタナに関する描写がたびたび登場し、特に大型のGSX1100Sと小排気量モデル(いわゆる“小ガタナ”)との間にある“格差意識”が物語の一部として取り扱われています。登場人物が「小ガタナはカタナじゃない」と言われたり、オーナー同士でマウントを取り合う場面が印象的ですが、実際のバイク乗りたちの間ではどうなのでしょうか?このページでは、カタナシリーズの実際の扱われ方や、漫画表現との違いについて掘り下げます。
カタナと“小ガタナ”の違いとは?
カタナ(KATANA)とは、スズキが1980年代に生み出した名車「GSX1100S KATANA」を筆頭としたシリーズの総称です。小ガタナとはそのデザインを受け継ぎながら排気量が小さいモデルのことを指し、主に以下のモデルが該当します。
- GSX1100S KATANA(大型):伝説的な輸出仕様。最も“本家”とされる。
- GSX750S(中型):国内仕様として広く普及。
- GSX250S・GSX400S(小ガタナ):エントリーユーザー向け。外観はカタナだが中身は別物。
排気量・装備・走行性能に違いはあるものの、どれも「カタナ」というブランドのアイデンティティを持った車種です。
「ばくおん!!」の描写は誇張?それともリアル?
「ばくおん!!」では、GSX1100SオーナーがGSX250Sに乗るキャラクターに対して見下すようなセリフを投げかけるなど、やや過激な描写があります。しかしこれはギャグ漫画としてのデフォルメであり、現実のバイク文化ではこのような露骨な差別的態度はむしろ珍しいといえるでしょう。
実際のカタナ乗りの間では、「大きさや速さよりも“好き”が一番」という価値観が強く、「250でも立派なカタナ」と評価する声も多く聞かれます。
作者はカタナ愛好家だが、“マウント文化”を肯定しているわけではない
「ばくおん!!」の作者・おりもとみまな氏は公私ともに筋金入りのカタナファンとして知られており、作中のカタナ推し描写はその愛情の裏返しでもあります。ただし、作中の“カタナ原理主義”はあくまでキャラクターの個性やギャグ要素として描かれているに過ぎません。
また、バイク漫画界の大御所・秋本治氏(「こち亀」)も複数のカタナを所有しており、250〜1100まで幅広く愛していることから、カタナファンが排気量でマウントを取るような風潮が支配的でないことが伺えます。
実際のカタナオーナーの声は?
現実のバイクコミュニティでは、むしろ小排気量カタナの魅力を語るオーナーも多く存在します。
例1:「GSX250Sに乗ってます。カタナのフォルムが好きだけど、大型免許は取ってないからこのサイズがちょうどいい」
例2:「昔1100乗ってて今は400にしてます。歳とって取り回し楽なのが一番(笑)。でも“刀”であることには変わらない」
このように、排気量の違いを超えて「カタナが好き」という共通の思いで繋がるケースも多く、尊重し合う雰囲気が強いのが現実です。
“劣等感”ではなく“誇り”を持てるのが本来のバイク乗り
バイクはスペックだけでなく、「そのバイクが好き」という気持ちが何よりも大切にされる文化があります。小ガタナに乗ることに引け目を感じる必要はなく、自分にとっての“ちょうど良いバイク”を愛し抜くことが一番です。
実際、カタナのファンイベントでは車種ごとの垣根を超えて交流が行われており、所有モデルによる“格差”は話題にすらならないことも多いのです。
まとめ:カタナに「大小」はあれど、どれも愛すべき“刀”である
「ばくおん!!」の描写は一部誇張された演出であり、実際のバイク乗りたちは排気量や年式を問わず、カタナというバイクの魅力を多角的に楽しんでいます。
小ガタナに乗ることに誇りを持ち、他者と比較するのではなく、自分にとって最高のバイクライフを送ること。それこそがカタナ乗りとしての“正しいマインド”なのではないでしょうか。
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