日本国内での自動車盗難事件の背景には、単なる国内の犯罪では済まされない深い構造があります。特に海外への不正輸出や国際的な窃盗団の存在が大きく関係しています。なぜ日本の車はこれほどまでに狙われるのか──その理由と対策を詳しく見ていきましょう。
日本車が海外で高く売れる理由
まず大前提として、日本車はその品質と耐久性、そして燃費性能において世界的に高く評価されています。特にトヨタやホンダ、日産などのブランドは、アジア・アフリカ・中南米の国々では「壊れにくく長く乗れる車」として高額で取引されます。
例えば、国内では中古価格が80万円のランドクルーザーが、中東やアフリカでは200万円近くで取引されるケースもあります。こうした高価格での転売が可能なため、窃盗団にとって日本車は極めて「おいしい獲物」なのです。
国際的な窃盗ネットワークの存在
近年の自動車盗難は単独犯ではなく、組織化されたグループによるケースが大半を占めます。彼らはGPS妨害装置やリレーアタックなど最新の盗難技術を使用し、車を短時間で盗み、すぐに港へと輸送します。
中には偽造書類を用意して合法的に見せかけ、輸出ルートに乗せる手口もあるため、追跡が困難です。盗まれた車はコンテナで海を渡り、到着先で一気に現金化されます。
人気の車種とは?
盗難リスクが高い車には傾向があります。特に下記のような車種が狙われやすいです。
- トヨタ・ランドクルーザー
- トヨタ・ハイエース
- レクサス LX
- 日産・エルグランド
- ホンダ・ヴェゼル
これらの車種は海外での需要が非常に高く、年式が多少古くても高値で取引されます。
盗難対策はどうするべきか
自衛手段として有効なのは、複数の防犯対策を組み合わせることです。例としては。
- ステアリングロックやタイヤロックの装着
- 車内にダミーの警報装置を設置
- 駐車場所に防犯カメラや人感ライトを設置
- スマートキーの保管に電波遮断ポーチを使用
さらに、盗難車両補償付きの車両保険に加入しておくことも重要です。
日本政府や自治体の動向
被害が多発していることから、警察庁もハイリスク車両に対する啓発を強化しており、一部自治体ではGPS追跡機器を配布する施策も試験的に行われています。
また港湾における中古車輸出の監視強化や、盗難届出と車体番号照会の自動連携など、制度面での対策も進んでいます。
まとめ:日本車の価値とリスクを正しく知ろう
日本車は世界的に評価が高いため、それが裏目に出て国際的な犯罪の標的にもなっています。自動車オーナーとしては、盗難リスクと向き合い、日頃から防犯意識を高めることが重要です。
海外で日本車が「高く売れる存在」であるという事実は、決して誇らしい話ばかりではなく、防犯対策の重要性を再認識するべき根拠でもあるのです。
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