伊藤忠がビッグモーターを再建、新会社「WECARS」へ移行した背景と中古車市場への影響

中古車大手ビッグモーターが不祥事を経て伊藤忠商事の主導で再建され、新会社「WECARS（ウィーカーズ）」として再出発した動きには、業界再編を見据えた重要な要素が含まれています。

伊藤忠が選んだ再建モデルとは

2024年3月、伊藤忠商事、伊藤忠エネクス、企業再生ファンドJWPの3社がビッグモーター再建に向けて基本合意を締結し、会社分割方式で主要事業を承継する新会社を設立しました。

旧会社は訴訟対応や債務処理に集中する形で切り分けられ、新会社「WECARS」が事業継承し刷新されました。

新会社には約250店舗、約4200人の従業員を引き継ぎつつ、約50名超の伊藤忠グループ幹部を派遣して組織改革を推進。

社長には元伊藤忠執行役員の田中慎二郎氏が就任し、経営の透明化と信頼回復を目指します。

報道では、買収・再建にかかる総額は約400～600億円とされています。具体的には、伊藤忠グループとJWPが約400億円を出資し、新会社の持ち株構成はJWPが多数派、伊藤忠が少数派となっています。

2～3年後には伊藤忠のみで完全子会社化を検討しているとの報道もあります。

質問で触れられていたような「保証オプション」の盛り込みは、ビッグモーター時代に評判を落とした要因の一つです。

伊藤忠はその反省を踏まえつつ、整備工場網や店舗インフラの価値に注目し、顧客が納得できるサービス設計を意識した業界再構築を狙っているようです。

業界再編の中で、アップセル型の保証プランやメンテナンスパックが再び重視される可能性はあります。

消費者としては、契約時にパック内容や金利まで含めた総支払額を確認し、不明点はしっかり質問する姿勢が重要です。

ビッグモーターの再建は、信頼回復と健全な中古車ビジネスモデルの再構築を目指す試みです。

伊藤忠による運営刷新と透明化努力が実を結べば、業界にとっても前向きな転機となる一方、消費者としては販売時の過剰オプションや金利構造に注意する姿勢が今後も求められます。