人身事故での点数計算の仕組みとは？複数人の軽傷者がいた場合の処理方法も解説

交通事故において人身事故と判定された場合、加害者には行政処分として違反点数が科されることがあります。その中でも「複数人が軽傷を負ったケース」での点数計算は、あまり知られていない重要なポイントです。この記事では、警察による点数加算のルールを詳しく解説します。

人身事故における違反点数の基本

人身事故による違反点数は、「過失運転致傷」の重さや、「被害者の治療期間」「後遺障害の有無」などによって異なります。軽傷であれば3点前後から、重傷や死亡事故では数十点に及ぶこともあります。

点数は「加害者1名あたり」ではなく、「事故1件ごと」に計算されるのが基本ルールです。

実は、被害者が複数人いても、それぞれの怪我が軽傷（例：治療期間15日未満の打撲や擦過傷など）の場合は、点数の加算は「最も重い傷害」に基づいて1回だけとなります。

たとえば、3人がそれぞれ1週間の通院を要する打撲を負った場合でも、「軽傷扱い」として3点の加点で済むケースが一般的です。

例1： Aさんが交差点で信号無視をして歩行者3人と接触。全員が「加療7日」と診断。→ 点数加算は3点（軽傷1件扱い）。

例2： Bさんが自転車3台と接触し、1名は加療30日、他2名は加療5日。→ 点数加算は6点（治療30日が基準）。

つまり、被害者の数ではなく、最も重い負傷の程度が基準となるわけです。

違反点数は「行政処分」の材料であり、反則金や免停・取消の判断材料となります。一方、刑事処分では人数や被害の程度すべてが考慮され、送検や略式起訴などの対応がされることもあります。

点数だけでなく、事故後の対応（救護義務・通報・示談など）によっても処分の内容が変わるため、誠実な対応が非常に重要です。

複数人がけがをした場合でも、まずは救護と通報が最優先。その後、警察の現場検証に正確に応じ、誤解のない供述を心がけましょう。

また、加害者側でも「人身事故証明書」を取得しておくと、任意保険での補償処理などがスムーズに進みます。

複数人の被害者がいても、点数はその中で最も重い怪我に基づいて加点されるのが基本です。加害者にとっては大きな差が出る要素でもあるため、事故の状況や診断内容を正確に把握しておくことが大切です。

不安な場合は、交通事故に詳しい行政書士や弁護士などの専門家に相談するのもおすすめです。