自動車通勤の通勤手当はどうやって計算する?燃費・ガソリン代・距離の考慮ポイントを解説

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従業員がマイカーで通勤している場合、通勤手当の支給方法には悩むところです。燃費や車種、道路状況、ガソリン価格などが日々変動する中で、どのように公平かつ合理的に通勤手当を算出すればよいのか。本記事では、自動車通勤の手当計算に関する実務的な考え方を整理して解説します。

基本は「距離に応じた定額支給」が一般的

通勤手当は、実際の燃費やガソリン単価ではなく、通勤距離(片道)に応じた定額で支給する方法が主流です。これは、従業員ごとの使用車両や燃費の違いによる不公平を避けるためです。

多くの企業では、下記のような距離に応じた定額表を使って月額手当を設定しています。

片道距離 月額目安
2km以上〜10km未満 4,200円
10km以上〜15km未満 7,100円
15km以上〜25km未満 12,900円
25km以上〜35km未満 18,700円
35km以上 24,400円

※上記は国税庁の非課税限度額を基準とした一例です。

ガソリン代や燃費を個別に反映するケース

一部の企業では、実際のガソリン単価や車両燃費を考慮して、以下のような計算式で通勤手当を算出することもあります。

通勤手当 = 通勤距離 × 出勤日数 × ガソリン単価 ÷ 燃費(km/L)

例えば、片道20km、月20日出勤、燃費15km/L、ガソリン価格170円/Lなら
20km × 2(往復) × 20日 × 170 ÷ 15 = 約9,066円
という金額になります。

ただしこの方法は、車両ごとの申告・燃費証明・価格更新が必要となるため、運用の手間が増す点に注意が必要です。

非課税枠と課税対象の境目に注意

通勤手当は、一定の範囲内であれば非課税として扱われます。自動車通勤の場合は以下が上限です。

  • 片道2km以上〜55km未満:距離に応じた定額
  • 55km以上:月額24,500円が非課税限度額

これを超える通勤手当を支給する場合、超過分は給与所得として課税対象となるため、支給額設定時は慎重に設計する必要があります。

会社側が実施すべき管理と手当支給のルール

自動車通勤手当を適切に管理するには、以下のような対応が推奨されます。

  • 通勤距離の確認(地図アプリなどで最短経路を算出)
  • 出勤日数に基づいた月ごとの支給額調整
  • ガソリン価格の変動は年1回程度見直し程度にとどめる
  • 申請・変更時に「自動車通勤申請書」や「通勤経路図」の提出を義務づける

また、安全管理や事故リスクにも関わるため、任意保険加入の証明や走行経路のチェックなどもあわせて行うとよいでしょう。

実例:A社での自動車通勤手当の設計

A社では、全従業員に対して片道距離に応じた通勤手当を支給。ガソリン代は実際の変動に関係なく、年1回のみ単価を見直し、燃費は「一律15km/L」で設定。

この方式により、申請の公平性と事務処理の効率化を両立し、従業員からの不満も少なく運用されています。

まとめ:シンプルな基準設定と定期見直しがポイント

自動車通勤手当は、燃費や車種に個別対応すると運用負担が増えるため、距離ベースの定額支給が基本です。そのうえで、ガソリン価格の見直しや出勤日数に応じた柔軟な設計を加えると、より実情に合った支給が可能になります。

制度の透明性と運用の簡便さを両立させ、従業員のモチベーションを支える通勤手当設計を心がけましょう。

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