車の個人売買では、購入希望者に試乗をさせる場面が避けられないものです。しかし、中には販売者の許可を得ずに全開走行や過度な加速を行う人もおり、大きなトラブルに発展することもあります。この記事では、個人売買時の試乗で起こり得るリスクとその対策を解説します。
なぜ試乗での全開走行が問題になるのか?
一般道での全開走行は、車両への負担だけでなく、事故やトラブルのリスクも伴います。売却前の車で過度な走行をされると、エンジンやミッションなどへのダメージが懸念され、売主にとっては重大な不安要素となります。
また、試乗目的で荒い運転をする購入希望者の中には、購入の意思が薄い「冷やかし」や「興味本位」の人も存在し、無用なダメージを負わせたまま連絡が途絶えるケースもあるのが現実です。
試乗中の全開走行トラブル事例
たとえば、とあるスポーツカーの個人売買では、購入希望者が「調子を見たい」と言いながらアクセルを全開にし、高回転まで回した挙句に何も言わず帰ってしまったという事例があります。その後、車に異音が発生し、整備費用がかかったにも関わらず、購入には至りませんでした。
このような例は決して珍しくなく、販売者が十分な対策をしていない場合に起きやすくなります。
トラブルを防ぐための試乗ルールの設定
個人売買で試乗を許可する際は、事前に明確なルールを設けることが重要です。以下のような対策が有効です。
- 1. 同乗して試乗を監督する
必ず助手席に乗り、加速や速度をチェックできる状態を保ちましょう。 - 2. 試乗前に誓約書を交わす
万一の事故や車両損傷に対して責任を負う旨を書面で確認。 - 3. 試乗範囲と運転方法を事前に指示
「全開走行は禁止」「●km/h以上の加速は不可」などの条件を口頭および紙面で伝える。 - 4. ドライブレコーダーで記録を残す
言った・言わないを防ぐ証拠として録画を活用。
とくにドライブレコーダーは、後日トラブルが発生した場合の証拠として非常に有効です。
相手を見極めるためのポイント
試乗を申し出る購入希望者の態度にも注目すべきです。以下のような特徴がある人には慎重になりましょう。
- しつこく「高回転まで回したい」と主張する
- 名乗らない、連絡先をはぐらかす
- 保険や免許証の提示を拒否する
- 車の細部より走りばかりに興味を示す
本気で購入を検討している人は、誠実なやりとりを心がける傾向があります。初対面での印象や対応も参考に判断しましょう。
試乗後に連絡がない…その対処法と考え方
試乗させたのにその後連絡がない場合、精神的なダメージを感じる方も多いでしょう。しかし、個人売買は「交渉の場」であり、購入が確約されたわけではないという前提を持つことが大切です。
ただし、走行中にトラブルがあった場合や、運転マナーに問題があった場合には、事後でも対応策を講じることが必要です。ドライブレコーダーの映像を確認し、必要ならば弁護士や警察への相談も検討しましょう。
まとめ|試乗は信用とルールが前提。安心取引のための準備を
個人売買における試乗は、購入者にとって重要な判断材料である一方、売主にとってはリスクが伴う行為でもあります。全開走行や過度な負荷を防ぐためには、事前のルール設定と、同乗監督・記録の徹底が鍵となります。
信頼できる相手と安心してやりとりを進めるためにも、準備と警戒を怠らず、誠実な対応を心がけましょう。
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