イタリアの名車「アバルト595」は、そのユニークなエンジン配置とコンパクトなボディで多くのファンを魅了してきました。特に古いモデルのアバルト595では、リアのエンジンルームが開きっぱなしの状態を見かけることがあり、不思議に思う方も少なくありません。本記事では、その構造的な理由や、ボンネット内の役割について詳しく解説します。
アバルト595とは?
アバルト595は、FIAT500(ヌオーヴァチンクエチェント)をベースに、アバルト社がチューンナップした高性能モデルです。1950年代から1970年代にかけて製造されたクラシックモデルは、軽量かつ高回転型エンジンを搭載し、当時のレース界でも注目を集めました。
エンジンはリアに配置され、RR(リアエンジン・リアドライブ)方式を採用している点が最大の特徴です。
なぜリアエンジンルームが開きっぱなしなのか?
旧型アバルト595のオーナーがリアのエンジンフードを「開けたまま」にして走行しているのは、見た目の問題ではなく、冷却性能の確保が理由です。
空冷エンジンを搭載していたアバルト595では、エンジン熱を効率よく逃がす必要があります。特にチューニングされたアバルト仕様では排気熱が高いため、エンジンフードを閉めたままではオーバーヒートのリスクが高まるのです。
実際には「ヒンジを延長して斜めに開けた状態」でロックする専用ステーを用いることで、熱気の排出を確保しています。
前方ボンネットには何がある?
リアエンジンのアバルト595では、前方のボンネット内にエンジンはありません。代わりに、燃料タンク、スペアタイヤ、バッテリー、一部の電装系ユニットが収まっています。
前後の重量配分を意識して設計されており、前ボンネット下のスペースも車両バランス維持に大きな役割を果たしています。特にスペアタイヤの位置は衝突時の衝撃吸収にも役立つ構造です。
RRレイアウトのメリットとデメリット
メリット:駆動輪にエンジン荷重がかかるため、発進時のトラクション性能が高く、加速がスムーズです。また、コンパクトカーながらも後輪駆動による独特の走行フィーリングが楽しめます。
デメリット:重量バランスが後方寄りのため、高速コーナリング時のオーバーステアが出やすく、運転には慣れが必要です。冷却面でも自然吸気や空冷エンジンでは工夫が求められました。
現代アバルト595との違い
現在販売されているアバルト595(現行モデル)は、前輪駆動+前置きエンジンで構成されており、古いRRレイアウトとは異なります。冷却の課題もほとんどなく、リアにエンジンがあるような見た目の印象は残っていません。
したがって、古典的なレイアウトは旧型595ならではの特徴といえます。
まとめ:アバルト595の魅力と構造美
アバルト595(クラシックモデル)は、そのコンパクトなボディにRRレイアウトという独自性を持ち、今なお多くのファンに支持されています。リアフードを開けるという見た目のインパクトも、実は実用性に裏打ちされた理由があったのです。
こうした旧車の構造や背景を知ることで、より深くその魅力を理解できるのではないでしょうか。
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