車両整備や電装系のチェックでよく使われる「検電テスター(検電器)」。中でもデジタル検電テスター1142は手軽に電圧の有無を確認できる便利なアイテムです。ですが「導通確認」にも使えるのか?という点では注意が必要です。この記事では、検電テスター1142の基本的な使い方や、電動レギュレターのチェック時の正しい確認方法について初心者にもわかりやすく解説します。
デジタル検電テスター1142の基本機能とは?
デジタル検電テスター1142は、主に電圧の有無を確認するためのツールです。12V車両に対応しており、端子に電気が来ているかどうかをチェックすることができます。特にヒューズボックスや配線の断線チェック、カプラー内の電圧確認などに適しています。
ただし、導通確認(抵抗値の測定や電流の通り道の有無)には対応していません。導通確認には「テスター(マルチメーター)」が必要です。
導通確認をしたい場合に必要な機器
導通とは、回路がきちんとつながっているかをチェックすることです。たとえば、電動ウィンドウのレギュレターの配線に断線がないかを知りたい場合、単に電圧が来ているかだけでは不十分で、配線の両端が電気的につながっているかを調べる必要があります。
このときに必要なのが「マルチメーター」です。テスターを抵抗測定モードや導通チェックモードにして、配線の両端にリード棒を当てることで導通の有無を確認できます。
ドアを外した状態でのチェック方法
たとえば、ドアを取り外してガラスの上下を制御するレギュレーターモーターの導通を確認したいとき、ハーネスのカプラー部分でのチェックが考えられます。この場合、次の手順で行います。
- カプラーから車両側・ドア側のハーネスを分離
- 導通チェック用テスターを用意
- カプラー端子にテスターのリードを当てて、導通を測定
この際、配線図やピンアサインの確認が重要です。間違った端子に当てると誤診断になる可能性があります。
検電テスターでできること/できないこと
できること:
- 電源が来ているかどうかの確認
- ヒューズが切れていないかの確認(通電確認)
- アクセサリー電源や常時電源の確認
できないこと:
- 抵抗値の測定
- 導通の確認(断線チェックなど)
- 電流量の計測
導通確認にはテスター(マルチメーター)を使いましょう。
実際のレギュレーターチェックの例
例えば、電動ガラスが動かないというトラブル時。
まず検電テスター1142を使い、スイッチON時にモーター端子に電圧が来ているかを確認します。電圧が来ていれば、モーターまたは配線が原因の可能性があります。
次にマルチメーターでモーター単体を取り出し、端子間の導通(抵抗値があるか)を測定。導通がなければモーター内部断線が濃厚です。
まとめ:検電テスターは「通電確認用」、導通確認にはマルチメーターを
デジタル検電テスター1142は、電源の有無を簡易的に確認するには非常に便利な道具です。しかし、導通確認には適していないため、配線やモーター内部のチェックにはマルチメーターが必要になります。
初心者の方は、用途ごとに工具を正しく選び、車両整備をより安全かつ確実に進めましょう。今後もトラブル診断の基本を少しずつ身につけることが、DIY整備の第一歩です。
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