近年、電動化技術の進化により、各自動車メーカーが独自のハイブリッドシステムを展開しています。その中でも注目を集めているのが、ダイハツの「e-SMART」と日産の「e-POWER」。どちらもエンジンで発電しモーターで走行する「シリーズ式ハイブリッド」ですが、仕組みや設計思想には違いがあります。
e-SMARTとe-POWERの共通点とは?
まず両者に共通しているのは、エンジンは走行には使わず発電専用で、駆動はモーターのみで行うという「シリーズ式ハイブリッド」である点です。
この方式は、エンジン車と比べて加速が滑らかで、EV(電気自動車)に近いフィーリングを実現しながら、電気だけではなくガソリンでも走れるという利便性が魅力です。
日産e-POWERの特徴
日産が2016年に導入したe-POWERは、ノートやセレナなどで採用されており、特に街乗りでの効率に優れています。
モーターの出力が大きく、加速力が高いことが特徴。特にノートe-POWERでは、100kW(約136馬力)のモーターを搭載し、踏み込みに対するレスポンスが非常に良好です。
ダイハツe-SMARTの特徴
一方、ダイハツのe-SMARTは、2021年に登場した軽自動車「ロッキー」や「トール」などに搭載。1.2Lエンジンで発電し、モーター(出力約106馬力相当)で走行します。
日産よりも比較的出力は控えめですが、低燃費性能とコンパクト車向けに最適化された設計が強みです。市街地や通勤など日常的な使用に焦点をあてたシステムです。
システムの構成や制御の違い
日産e-POWERは、高出力モーター+大型インバーター+発電専用エンジンという構成で、よりパワフルな走行が可能です。
一方で、ダイハツe-SMARTは、小型・軽量化に注力したシステム構成で、低コストで高効率を狙っています。また、発電とモーター制御のチューニングも異なり、静粛性やエネルギー消費効率に独自の最適化が図られています。
走行フィーリングとユーザー評価
実際に乗ってみると、e-POWERは「力強さ」と「静かさ」が際立ち、長距離運転や山道でも安定した加速が得られます。
一方、e-SMARTは「滑らかで扱いやすい」という声が多く、特に軽自動車ユーザーにとっては違和感のない乗り味が高評価を得ています。
どちらが優れている?用途による選び方
どちらが「優れているか」は使い方によります。パワーや走行性能を重視するならe-POWER、燃費とコスパを重視するならe-SMARTが適しています。
また、車体サイズや価格帯、メンテナンスコストなども購入時の判断材料として重要です。
まとめ:e-SMARTとe-POWERは似て非なるシステム
ダイハツe-SMARTと日産e-POWERは、一見似ているものの、性能・設計思想・用途に応じたアプローチが異なることが分かります。
購入を検討する際は、単純なスペック比較だけでなく、日常の走行環境やライフスタイルを踏まえて、自分に合ったハイブリッドを選ぶことが大切です。
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