日常の運転において、「法定速度+10km/hで走行することは普通」という意見を見かけます。一方で、それは厳密には交通違反であるという指摘もあります。このジレンマは多くのドライバーが抱える課題です。本記事では、速度超過の法的な側面と実際の交通社会の現実、そして安全運転とのバランスについて深掘りします。
法定速度と制限速度の違いとは
まず、「法定速度」は道路交通法で定められた上限速度のことで、例えば一般道は60km/h、高速道路では100km/hが基準です。これに対して、個別の道路に設置された「制限速度」は標識などによって明示されており、30km/hや40km/hといった制限が指定される場合もあります。
つまり、標識で規定された速度があれば、それが優先され、標識がなければ法定速度が適用されるという仕組みです。
+10km/hの速度超過は違反なのか?
結論から言えば、法定・制限速度を1km/hでも超えると法律上は「速度超過」であり、道路交通法に違反しています。速度超過が10km/h未満であっても、警察に止められれば青切符で反則金と違反点数が科されます。
ただし、現実には5〜10km/hの軽微な超過に対しては警察も黙認する傾向があります。しかしこれは「違反ではない」のではなく、「取り締まりの対象とならなかった」にすぎません。
交通の流れに乗ることは重要なのか
高速道路や幹線道路では、周囲の車が全体的に速いスピードで流れていることがあります。このとき、極端に遅い速度で走行すると、後続車にとっては妨げとなり、結果的に追突のリスクを高めてしまいます。
このため、「流れに乗ることも安全運転の一部」という見方は一定の合理性がありますが、それでも速度超過が合法になるわけではありません。
違反リスクと事故リスクの狭間で
たとえば、制限速度50km/hの道を60km/hで走った場合、違反点数1点・反則金12,000円(普通車)となる可能性があります。仮にそれで事故を起こせば過失割合にも影響します。
一方で、あまりに法定速度を守ることだけに固執すると、交通の流れに対して極端に遅い存在となり、逆に危険なシーンを生むこともあるのが現実です。
適切なスピード感を保つために意識すべきこと
- 周囲の交通状況を観察する
- 走行車線・制限速度の標識を見逃さない
- 速度計に常に注意を払う
- 必要なら一時的に車間距離を保ってやり過ごす
このようにして、法律違反を避けつつ、流れに無理なく乗る運転が可能になります。
まとめ:法律と現実のギャップを理解しよう
「法定速度+10km/h」は確かに現実の交通社会では珍しくない走行スタイルです。しかし、それが合法で安全だと認められているわけではありません。大切なのは、法令を尊重しつつも、現実の交通状況とのバランスを見極める運転姿勢です。
違反を正当化するのではなく、違反リスクと安全運転のバランスを保つための知識と判断力が、現代ドライバーには求められています。
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