フェアレディZが中古市場で伸び悩む理由とは?排気量の大きさだけでは語れない背景を解説

中古車

日産フェアレディZといえば、国産スポーツカーの代名詞とも言えるモデルです。Z33、Z34、そして最新のZ34後期型やRZ34など、いずれも存在感あるスタイリングと高性能エンジンで多くのファンを魅了してきました。しかし近年、中古車市場では思ったほどの人気が出ていないとも言われます。その原因は本当に“排気量が大きすぎる”からなのでしょうか?この記事では、その理由を多角的に分析します。

排気量が大きい=売れない?その因果関係を整理

たしかにフェアレディZは3.5L〜3.7L、最新型では3.0LターボV6と、大排気量エンジンを搭載しており、燃費や維持費の面ではコンパクトカーやハイブリッドカーに劣ります。特に2020年代以降、自動車税やガソリン代の高騰が家計に直撃しており、「燃費が悪い車=敬遠されやすい」という傾向が強まっています。

しかし、それだけが理由ではありません。実際に排気量が3.0L超の輸入車でも売れている車種はあります。問題は“それ以外”の要素にもあるのです。

2シーターという実用性の壁

フェアレディZは基本的に2人乗りのスポーツクーペで、後席がないため、ファミリー層にとっては選択肢に入らないという側面があります。たとえばトヨタ86やスバルBRZには一応リアシートがあるため、“4人乗れるスポーツカー”としての利便性が比較的高いです。

加えて、トランク容量も限定的で、普段使いとしては不便に感じるユーザーも少なくありません。

価格とライバル比較:中古車でも割高に見える理由

中古市場におけるフェアレディZの相場は、Z34前期で150万円〜、Z34後期やRZ34は300万円以上が一般的です。ここで問題となるのが、ライバル車の存在です。

例えば。

  • スバルBRZ/トヨタ86:維持費が安く、価格も手頃
  • 輸入中古スポーツカー(BMW 2シリーズクーペ等):ブランド力が高く、価格も競合

このように、同価格帯で選べる選択肢が多いため、あえてZを選ぶ理由が薄れやすいのです。

マニュアル比率と買い手層のギャップ

フェアレディZはMT(マニュアルトランスミッション)のラインナップが充実している一方で、MTに乗れる・乗りたい若者が減っているという現実もあります。中古市場の中心は20〜40代ですが、この層の多くがAT限定免許か、そもそも「スポーツカー=趣味の乗り物」としてしか見ていない場合も。

つまり、フェアレディZが持つ「ガチスポーツカー」の特性は、むしろ市場で浮きやすくなっているという逆説的な現象が起きているのです。

燃費・維持費の不安と社会的意識の変化

排気量が大きいことに加え、近年は“脱炭素”“EVシフト”といったトレンドも影響しています。ユーザーの多くが「長く乗るなら環境性能も大事」と考えるようになり、ガソリン車全体への目が厳しくなっています。

その中でフェアレディZは、燃費(実燃費で6〜9km/L前後)やCO2排出量という面で不利に見えてしまうのも事実です。

まとめ:排気量だけが原因ではなく、複合的な要因が絡む

フェアレディZが中古市場で伸び悩む理由は、排気量の大きさだけではありません。2シーターの実用性、維持費、ライバル車との価格競争、若者の嗜好変化、さらには社会的なEV志向といった、複合的な要素が影響しています。

とはいえ、スポーツカーとしての魅力やデザイン性は今なお健在であり、“趣味車”としては非常に完成度の高い1台です。だからこそ、自分の価値観に合った買い方ができれば、Zは唯一無二の存在となり得ます。

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