ガソリンの価格に大きな影響を与える「暫定税率」。この税が廃止されるという話題がたびたび浮上しますが、もし本当に廃止されたら、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか?本記事では、ガソリン暫定税率の仕組みや廃止によるメリット・デメリットについて解説します。
そもそもガソリン暫定税率とは?
ガソリンには、元々「揮発油税」と「地方揮発油税」という2種類の税金が課されています。暫定税率とは、これらの税率を一時的に引き上げた制度で、導入は1974年にさかのぼります。
当初はあくまで“暫定”としてスタートしましたが、現在に至るまで延長が繰り返され、実質的には常態化しています。現在の暫定税率分だけでも、1リットルあたり約25.1円もの課税が上乗せされているのです。
廃止されるとガソリン価格はどれだけ下がる?
もし暫定税率が廃止された場合、ガソリン価格は単純計算でリッターあたり約25円ほど下がることになります。これは、1回の給油で50リットル入れると、約1,250円の差になる計算です。
たとえば、月に2回給油する家庭であれば、年間3万円以上の節約になる可能性もあり、多くのドライバーにとって朗報となるでしょう。
一方で心配される国や地方の財源
しかし税率が引き下げられるということは、国や地方自治体の財源が減るという意味でもあります。揮発油税の一部は、道路整備や交通インフラ維持のために使用されています。
暫定税率が廃止されることで、インフラ整備が滞ったり、別の税金で補う必要が出てくるなど、間接的に私たちの生活に負担が跳ね返ってくる可能性もあります。
「走行距離課税」など代替案も検討されている
近年ではEV(電気自動車)の普及によって、ガソリン税だけに依存した財源確保は限界があるという認識が強まっています。そのため「走行距離課税」など、ガソリン以外の方法で課税する制度の検討も始まっています。
もし暫定税率が廃止された場合、その代替財源として新しい税が導入される可能性があることも理解しておくべきです。
一時的な値下げと長期的な制度の見直し
ガソリン価格が下がるというのは、多くのドライバーにとって魅力的な話です。しかしそれが永続的な恩恵かというと、そうとも言い切れません。財源の確保や税制の再構築など、国としてのバランスも求められます。
実際、過去にも廃止の動きはありましたが、最終的に復活・延長された経緯があることから、慎重に見守る必要があるでしょう。
まとめ:ガソリン暫定税率廃止の恩恵と課題
暫定税率が廃止されれば、ガソリン価格は一時的に下がり、家計の負担は軽減されるかもしれません。ただし、インフラ整備の遅れや別の形での増税リスクもあるため、「安くなるからラッキー」とは単純に言えないのが現実です。
車社会を取り巻く制度改革の一環として、私たちも広い視野でこの問題を捉えることが大切です。
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