日本の自動車メーカーが衝突試験で“ズレを狙って高得点を出している”という指摘を聞くことがあります。本当に評価方法に抜け道があり、実際の安全と乖離しているのでしょうか。本記事では、最近明るみに出た安全データ不正問題や、評価制度そのものの仕組みを整理し、安心して乗るためのポイントを明らかにします。
日本で発覚した安全データ不正問題とは
2024年、日本の国土交通省によってトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキ、ヤマハなどが安全性・排出ガスの認証試験で不正を行ったと発表されました。テストデータの改ざん、条件不備、実験手順違反などが認定され、一部車両は出荷停止に追い込まれました:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
これらはいずれも「法定の認証手順に沿わなかった」ため問題視されていますが、報道時点では結果として販売済み車両の安全性能自体に法規違反や即時危険性があったとはされていません:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
衝突試験の評価制度 JNCAP の仕組み
日本国内の新車安全評価は、JNCAP(自動車アセスメント)制度により運営されています。独立した評価機関が匿名で市販車を購入し、国が定めた基準に沿って衝突試験や予防安全性能の評価を行い、結果は公開されます:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
フルラップ前面衝突試験やオフセット衝突など複数の試験形式が導入され、2023年以降はより実用的な条件で評価する「MPDB試験」も追加されました:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
角度や位置を“完璧”に合わせるのは業界常識?
たしかに試験では車両の角度、ダミーの位置、衝突速度などが厳密に設定されており、わずかにズレただけで評価が変わる可能性があるのは事実です。そのため、試験に最適化したモデル設計を行うメーカーもあります。
しかし同時に、公正な評価を担保するために、ナスバやJARIが実施する市販車ベースのテスト手続きは、国の定めた手順に厳密に従うことを義務付けられています:contentReference[oaicite:4]{index=4}。
試験不正は“抜け道”より手順違反が問題
今回発覚した不正の多くは、「国が定めた条件とは違う重さ・測定手順で試験を行い、そのデータを使用した」といった、制度違反的な行為です。これらは試験を“巧みに通る設計”というよりも、単純に手順を守らなかったことが問題視されています:contentReference[oaicite:5]{index=5}。
多くの不正は数年前のもので、対象車種も日本国内向け限定。米ドル向けや欧州仕様とは別の極端な設計変更は含まれていませんでした:contentReference[oaicite:6]{index=6}。
それでも安心して乗れるのか?メーカーはどう対応している?
メーカーは今回の事態を重く受け止め、公表された全モデルの試験内容を見直す対応に動いています。2024年以降は認証手順の厳格順守が強化され、改善措置が継続されています:contentReference[oaicite:7]{index=7}。
また、米国のNHTSAやIIHS、欧州のEuro NCAPといった外部評価機関の試験では、日本国内の不正問題とは無関係に厳しい評価が行われており、日本車であっても海外仕様のテストで高評価を受けているケースが多くあります。
まとめ:性能スコアだけで判断せず、安全設計実績と試験透明性を見る
車の安全性能は「試験のズレを狙った抜け道設計」ではなく、法定・市場用試験手順の遵守と、独立第三者試験の評価得点で判断されます。制度自体も改善が進行中です。
最新の情報をもとに、各メーカーの公式リリースやJNCAP評価、外部機関によるテスト結果などをチェックすることで、安心して乗れる選択ができます。
コメント