インターネット上で中古車を探していると、明らかに相場とかけ離れた価格で掲載されている車両を見かけることがあります。例えば、年式やグレードから考えて不自然に安い価格が表示されている場合、販売店の誤記載の可能性が考えられます。では、そのような価格で見積もりを取得し、契約を進めた場合、販売店はその価格で販売する義務があるのでしょうか?
契約の成立と「錯誤」について
民法第95条では、「意思表示に錯誤があった場合、その意思表示は無効とする」と定められています。つまり、販売店が誤って価格を表示し、その価格での販売意思がなかった場合、契約は無効となる可能性があります。
ただし、販売店に重大な過失があった場合(例:明らかな価格誤表示を長期間放置していた等)、錯誤を主張できないこともあります。
「申込みの誘引」としての価格表示
ウェブサイト上の価格表示は、法的には「申込みの誘引」と解釈されることが一般的です。これは、販売店が購入者からの申込みを受けるための誘いであり、法的な契約の申込みとは異なります。
したがって、購入者が価格表示を見て申込みを行ったとしても、販売店がその申込みを承諾しない限り、契約は成立しません。
過去の判例と実例
過去には、明らかに誤った価格表示があった場合でも、販売店の重大な過失が認められず、契約が無効とされた例があります。例えば、100万円の車両を100円と誤表示したケースでは、販売店の意思と表示が一致していないとして、契約は無効とされました。
一方で、販売店が誤表示を長期間放置し、多数の購入者からの問い合わせがあったにもかかわらず訂正しなかった場合など、重大な過失が認められるケースでは、販売店がその価格で販売する義務を負う可能性もあります。
購入者としての対応策
明らかに誤った価格表示を見つけた場合、以下の対応を検討することが重要です。
- スクリーンショットや見積書など、価格表示の証拠を保存する。
- 販売店に価格の確認を行い、誤表示であるかどうかを確認する。
- 誤表示であった場合、販売店の対応や説明を記録する。
- 消費生活センターや弁護士など、専門機関に相談する。
まとめ
中古車サイトでの価格誤表示に関しては、販売店の意思と表示が一致していない場合、契約は無効となる可能性があります。ただし、販売店に重大な過失がある場合は、その限りではありません。購入者としては、冷静に状況を判断し、適切な対応を取ることが求められます。
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