日産フーガ(Y51系)は、上級グレードになるとリアシートにもパワー調整機能が搭載されています。これに憧れ、自分のフーガに後付けできないかと考えるオーナーも少なくありません。しかし、「パワーシート化」は単にシートを載せ替えるだけでは済まない、配線や制御系を含む複雑な作業です。この記事では、Y51フーガにリアパワーシートを後付けする際の基本構造や注意点を詳しく解説します。
Y51フーガのパワーシート仕様とは?
Y51フーガのリアパワーシートは、「VIP」などの最上級グレードに採用されている装備です。背もたれや座面が電動で可動し、シートヒーターやリクライニング、さらには電動オットマン機能を持つモデルもあります。
このような装備は高級車の代名詞ですが、シート単体の機構だけでなく、車体側のコントロールユニットやハーネス(配線)、スイッチパネル、リレーなども含まれています。
リアパワーシートを「ポン付け」できるのか?
結論から言えば、リアパワーシートの「ポン付け」は基本的に不可です。パワーシート用のレールやシートを用意しても、以下のような問題が生じます。
- 電源供給の配線が来ていない
- コントロールユニットが非対応
- シート下のステー・固定位置が微妙に異なる
- シートヒーターなどの機能はさらに複雑な配線が必要
こうした理由から、「ポン付け=そのまま交換して動作する」という状況はまずありません。
配線や電源の確保は可能?
一部のDIY経験者は、リアシート下にある電源供給ラインやヒューズボックスから分岐させて電源を取り出し、パワーシートの駆動に成功しています。しかし、この方法も電圧容量の確認やリレー制御の追加、さらにはコネクタの変換加工など、高度な電装知識を要します。
また、純正シートには安全装置(シートベルトセンサーやサイドエアバッグなど)が組み込まれているため、誤配線によってエアバッグ警告灯が点灯するトラブルも報告されています。
ステーや固定部の互換性に注意
リアパワーシート化では、レールやシートの固定ステーの位置が標準シートと異なる場合もあります。Y51フーガのボディ自体は共通でも、溶接済みのナット位置が違うケースもあるため、DIYで加工が必要になることがあります。
そのため、中古で入手したシートを仮組みしてみたら「ボルトが合わない」「干渉する」などの問題が起こる可能性もあるのです。
実例:DIYでパワーシート化したケース
SNSやブログでは、Y51フーガのリアパワーシート化を行った方の実例も報告されています。あるオーナーは、部品取り車からパワーシートと配線一式を丸ごと移植し、約2週間かけて作業を完了させています。
この場合でも、車両側のハーネス図や電装マニュアルをもとにした綿密な計画と、電気系統に関する確かな知識が不可欠で、誰でも気軽にできる作業ではありませんでした。
まとめ:パワーシート化は慎重に計画を
Y51フーガのリアシートをパワーシート化することは、不可能ではないものの「ポン付け」で済むレベルではありません。電装の知識、必要な配線、固定ステーの確認、動作確認を含めて慎重な計画と検証が必要です。
自信がない場合は、パーツを揃えたうえで信頼できる電装系ショップに相談するのが現実的な選択肢です。無理な取り付けで車両にトラブルを起こす前に、可能性とリスクをよく理解しておきましょう。
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