かつての軽自動車の多くは、最高速度が80km/h前後という設計が一般的でした。現代の感覚からすれば「そんな速度で高速道路を走るなんて」と驚かれるかもしれませんが、当時はそれがスタンダードだった時代が確かに存在しました。この記事では、その背景や時代的変化、実際の車種例とともに解説していきます。
なぜ昔の軽自動車は最高速度が遅かったのか
軽自動車の規格が登場したのは1949年(昭和24年)。当初の排気量制限は150cc以下でした。その後1955年に360ccへと改定され、長らく“360cc時代”が続きます。エンジン出力も控えめで、登坂性能や加速性能よりも、低価格と実用性が重視されていました。
その結果、最高速度が80km/h程度でも「実用車」として成立していたのです。当時は高速道路網も発達しておらず、日常の用途では困らないという時代背景がありました。
80km/hが「何とかなる」速度だった時代はいつまで?
昭和から平成初期、具体的には1990年代前半まで、多くの軽バンや商用車は高速域の走行に重きを置いていませんでした。特にダイハツ・ミラウォークスルーバンのような業務向け車両は、街乗りと配達に特化しており、高速走行を想定しない車種が多数存在していました。
1990年に軽自動車の規格が660ccへと変更され、徐々に安全性能や高速性能も向上しますが、それでも装備や価格を抑えるために非力なエンジンが使われ続けたモデルも多く、80km/h走行が現実的だったのは1990年代半ばまでと言えるでしょう。
ミラウォークスルーバンの特徴と背景
ミラウォークスルーバンは1985年に登場したダイハツの個性的な商用車です。助手席側が大きく開く設計で、宅配や新聞配達などに特化した車両として人気を集めました。多くは3ATや4MTの組み合わせで、エンジンは550cc~660ccの自然吸気タイプ。
高速走行は想定されておらず、平坦な市街地移動に最適化されていたため、最高速度が80km/h前後でも「問題なし」とされていたのです。
現代の軽自動車との性能比較
2020年代の軽自動車はターボエンジンやCVT(無段変速機)を採用し、高速でも100km/h巡航が可能なモデルが主流となっています。安全装備(自動ブレーキや車線逸脱警報など)も充実し、かつての軽自動車とは別物とも言える性能を誇ります。
そのため、現代の視点から見ると「80km/hで高速道路を走る」ことは非現実的に思えるかもしれませんが、当時の技術・道路環境・社会状況では、それが許容されていたというわけです。
昔の軽に乗る際の注意点
古い軽自動車に乗る場合、最高速度の限界だけでなく、ブレーキ性能・冷却性能・ステアリングの応答性など、現代車とのギャップを理解しておく必要があります。高速道路を走る予定があるなら、事前にメンテナンスを徹底するのはもちろん、速度の維持が困難な場合は走行車線に留まり、無理をしない運転が求められます。
まとめ:最高速度80km/hの車は、確かに「当たり前」だった
1990年代前半まで、最高速度80km/hという軽自動車は珍しくありませんでした。特に商用車では、それが合理的な設計だった時代背景もあります。今と比べると不便さを感じるかもしれませんが、こうした車両は「昭和・平成初期の実用車文化」を象徴する存在として、今も一部の愛好家に支持されています。
中古車として手に入れた際は、その設計思想や限界を理解し、状況に合った運転を心がけましょう。
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