なぜメーターは“板”になったのか?現代の車に見るインテリアデザインの進化とその背景

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近年、輸入車・国産車問わず「メーターが1枚の板になった」という声を多く耳にします。ベンツやBMW、アウディをはじめ、トヨタやレクサスの最新モデルでも、かつてのような独立型のメーターフードを持たず、横一線のディスプレイを採用する車が主流になりつつあります。本記事では、この“板型メーター”がなぜトレンドになっているのか、そしてそれに対する賛否の声を具体的に解説します。

「板メーター」はなぜ主流になったのか?

まず、メーターが板状になった最大の理由はデジタル化と一体感の追求にあります。かつては物理的な針のメーターが主流でしたが、今では液晶や有機ELディスプレイにより、メーターの表示も自由自在にカスタマイズ可能に。これにより、メーター・ナビ・車両情報を1つの画面上に統合することができ、情報の視認性や操作性が飛躍的に向上しました。

さらに、インテリア全体のミニマルデザイン化が進む中で、「ドライバー側だけに出っ張りがある」スタイルは古く見えてしまう傾向にあり、シンプルでフラットなダッシュボードがトレンドとして広がっています。

欧州車・国産車での「板メーター」の採用状況

メルセデス・ベンツは2018年ごろからSクラスなどの上級車で一体型の大型ディスプレイを採用。BMWもiDriveの進化とともに、メーターとセンターディスプレイの統合を進めています。

一方、国産車ではトヨタのクラウンクロスオーバーや次期RAV4、レクサスのLBXなどが同様のレイアウトを取り入れ、今後ますます主流になると予想されます。

「コックピット感」が消える?従来派ドライバーの本音

メーターフードのないデザインに「コックピット感が薄れてつまらない」と感じるドライバーも少なくありません。特にスポーツカーやドライビングを重視する車好きにとって、ドライバー中心のレイアウトは没入感を演出する重要な要素です。

また、シフトノブがレバー式からスイッチ式に変わることにも抵抗感を抱く方が多く、「運転する楽しさ」が削がれたと感じる人もいます。

進化か、退化か?操作性と安全性の観点から

デジタルディスプレイの一体化にはメリットも多く、例えば視線移動を最小限に抑えられたり、アダプティブクルーズコントロールやナビ情報をメーター内に表示できるなど、運転支援との親和性は抜群です。

一方で、故障時のリスクやタッチパネル依存による誤操作の懸念もあり、アナログ派にとっては「退化」に見える部分もあるのが事実です。

ユーザーが選べる時代へ:多様性の必要性

現代の自動車は高級志向、デジタル化、EV化といった変革期にあり、インテリアデザインも「画一化」されつつありますが、すべてのユーザーがそれを求めているわけではありません。

一部のモデルでは、あえてアナログメーターや物理的なスイッチを残した車種も販売されており、今後は“選べる”ことが差別化のポイントになる可能性もあります。

まとめ:進化を楽しむも良し、個性を求めるも良し

メーターが「板」になったことは、技術革新とデザイン哲学の変化を象徴するものであり、時代の流れとして自然な進化です。しかし一方で、コックピット感や機械的な操作感を好む層も根強く存在します。

車選びは最終的に個人の価値観によるもの。どちらが正しいかではなく、「自分にとって心地よいクルマは何か」を見つけることが何より大切です。

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