運転免許証の更新を終えた際に、「以前は“AT限定”と書いてあったのに、更新後は“AT”の文字が消えていた」というケースに戸惑う方が増えています。特に普通免許で取得できる“普通自動二輪小型限定(AT)”の場合、その記載が変更されることで、「もしかしてMT(ミッション付き)にも乗れるのでは?」と考えるのも自然なことです。本記事では、記載変更の背景と乗れるバイクの範囲について詳しく解説します。
以前の免許表記と現在の違いとは?
過去には、免許証の裏面などに「普通自動二輪車小型限定(AT)」と明記されていましたが、2022年以降の新様式では、“AT”の文字が省略されたり、備考欄に統合されたりする傾向が見られます。
しかし、これは“表記の簡素化”であって、限定条件が解除されたわけではありません。警察庁や都道府県公安委員会の公式情報でも「AT限定のまま変更なし」と明記されています。
AT限定とはどんな条件なのか?
普通自動二輪小型限定(AT)は、排気量125cc以下のAT(オートマチック)二輪に乗ることができる免許です。クラッチ操作を必要としない、原付二種スクーターなどが該当します。
一方、MT(マニュアルトランスミッション)の125ccバイク(例:ホンダCB125R、ヤマハYZF-R125など)はこの免許では運転できません。
AT限定免許ではクラッチ操作に関する技能講習を受けていないため、法的にも技術的にもMT車の運転は不可となります。
なぜAT表記が消えたように見えるのか?
免許証の記載方法が変更された主な理由は以下の通りです。
- 免許の分類と限定条件を分離して記載する形式への移行
- 備考欄に“限定条件”が統合されたことで、表面上から“AT”が消える場合がある
- ICチップに免許の詳細情報が格納されており、外見は簡素化された
たとえば、表面には「普通二輪小型限定」とだけ表示されていても、裏面またはICチップ読み取りでは「AT限定」の記録が残っています。
ICチップの内容を確認する方法
免許証のICチップには、限定条件や本来の免許区分が記録されています。確認方法は以下の通り。
- 各都道府県警察が設置している「IC免許証閲覧端末」を使う
- スマホ+専用アプリ(例:警察庁提供のIC免許情報確認アプリ)を利用
- 更新時に渡される「更新結果通知書」に記載されている場合もあり
これにより、自分がAT限定なのかMT含む免許なのかを明確に確認できます。
125ccMTに乗るにはどうすればいい?
現在の免許が「小型二輪AT限定」の場合、125ccのMT車に乗るためには、限定解除の講習・試験を受ける必要があります。
教習所で「小型二輪AT→小型二輪MT」への限定解除講習を受けることで、MT車の運転が可能になります。講習時間は比較的短く、2〜3日程度で取得可能なケースも多いです。
まとめ:表記が変わっても“AT限定”が消えたわけではない
・免許証から「AT」の文字が消えたのは表記簡素化が原因
・記録上はAT限定のままであり、MT車の125ccには乗れない
・限定解除講習でMT車に乗る権利を得ることは可能
見た目の変化に惑わされず、正確な情報をICチップや備考欄で確認し、自分の用途に合った免許取得・限定解除を検討しましょう。
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