かつてマーチやキューブ、ティーダなど個性的な小型車を数多く展開していた日産ですが、近年の車種構成はノートから一気にセレナやエクストレイルといったミニバン・SUVにジャンプする印象を受ける方も多いでしょう。本記事では、なぜ日産の車種ラインナップが縮小されたのか、他社と比べて中間クラスが少ないのかを、マーケティングや業界の変化の視点から詳しく解説します。
かつての日産:多様な小型車を揃えていた時代
2000年代〜2010年代前半の日産は、マーチ、キューブ、ティーダ、シルフィ、ウィングロードなどのコンパクトカーが充実していました。ユーザーの多様なライフスタイルに応じた選択肢を用意していたのが特徴です。
例えばキューブは、その個性的なデザインで若者層を中心に支持され、マーチはコンパクトカー市場の定番として長年活躍しました。これらの車種は海外市場でも一定の評価を受けていました。
なぜラインナップが縮小されたのか?
一見すると選択肢の減少はネガティブに見えますが、その背景には明確な理由があります。第一に販売効率の見直しです。近年、自動車業界は開発コストの高騰やEV対応により、全体的に「絞り込み」が進んでいます。
日産は赤字脱却を目指し、グローバルでの車種数を2023年までに20%削減すると発表しており、特に国内市場では利益率の低いモデルから整理されています。
ノート以外のコンパクトクラスが消えた理由
ノートはe-POWER搭載車として非常に高い販売台数を誇り、実質的に日産のコンパクト戦略の柱となっています。キューブやティーダなどは燃費性能や安全性能などの面で旧世代化し、商品力でノートに勝てないと判断された結果、モデル廃止につながったのです。
また、日本国内では若年層の車離れや少子化により、低価格帯の小型車市場の縮小が進んでおり、コンパクトカーを複数ラインナップするメリットが薄れています。
トヨタやスズキとの違いとは?
一方で、トヨタはヤリス、アクア、ルーミー、ライズ、カローラなどを展開し、スズキやダイハツも軽〜小型車まで幅広く揃えています。これには販売店網の強さと国内重視の姿勢が影響しています。
トヨタは国内シェアを維持・拡大するため、複数の車種でニッチなニーズを拾いにいく方針を取っていますが、日産はグローバル市場重視のため、国内専売車や小規模車種の維持に積極的でない傾向があります。
今後の日産の戦略と期待される新型車
日産は今後、電動化とSUV戦略に注力しています。新型アリアやサクラなど、電気自動車ラインを拡充する方針が打ち出されています。
一方で、2025年前後には新たなコンパクトカーや軽EVの開発も噂されており、ノートの派生モデルやシティ派向けモデルが登場する可能性もあるため、ラインナップが再び増える期待もあります。
まとめ:車種が少ない理由と今後の展望
現在の日産が車種を絞っているのは、コスト削減や戦略的集中の一環であり、意図的な選択です。ラインナップが少ないことは一時的な現象かもしれず、電動化の進展に合わせて、再び選択肢が広がる可能性もあります。
ユーザーとしては、今後の新型車や戦略変更に注目しつつ、現行ラインナップでも十分な性能と価値を持つモデルを選択するのが得策です。
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