カーエアコンの冷媒が残ったまま真空引きするとどうなる?正しい手順と注意点を解説

車検、メンテナンス

カーエアコンの効きが悪く、冷媒を正確に再充填したいと考える方にとって「真空引き」は欠かせない工程です。ただし、冷媒が残った状態で真空引きを行うのは大きなリスクを伴います。本記事では、冷媒が配管内に残った状態での真空引きの危険性や、適切な作業手順について詳しく解説します。

冷媒が残ったまま真空引きすると何が起きるか?

冷媒(R134aやR1234yfなど)が配管内に残っている状態で真空引きを行うと、真空ポンプが冷媒を吸い込んでしまいます。これによりポンプ内部が損傷する恐れがあります。特に冷媒が液体で吸引されると、真空ポンプのオイルが劣化・乳化し、性能が大きく低下します。

さらに、冷媒の種類によっては法令違反になることもあります。大気中に冷媒を放出する行為はフロン排出抑制法違反となり、罰則の対象になるため要注意です。

真空引きの正しい工程とは?

冷媒の再充填において正しい手順は以下の通りです。

  • 1. 冷媒を回収機で回収する(リカバリ)
  • 2. エアコン配管内を真空引きする
  • 3. 真空状態を保持し、漏れがないことを確認
  • 4. 冷媒を規定量充填する

特に1の「回収作業」は省略せず、専用機器(リカバリーマシン)で行う必要があります。DIYで対応する場合は整備業者に依頼するのが安全です。

冷媒が残っているかを判断する方法

配管内に冷媒が残っているかを判断する方法として、ゲージマニホールドを使用して高圧・低圧側の圧力を確認する方法があります。エンジン停止状態でもある程度の圧力が残っているようであれば、冷媒が存在する可能性が高いです。

たとえば、R134aの場合、常温(25℃)で約0.6〜0.8MPaの圧力があることが多く、これを超えていれば冷媒が相当量残っていると判断できます。

真空引きを自分で行う際の注意点

自分で真空引きを行う場合は以下のポイントに注意してください。

  • 必ず冷媒を回収してから行う
  • 真空ポンプのオイルは清潔な状態で使用する
  • 最低でも30分以上の真空保持を行う
  • リークチェックを兼ねて真空保持中に圧力変化がないか確認

また、真空ポンプの排気口には必ずフロン回収ボトルか冷媒キャッチャーを取り付けましょう。冷媒が誤って吸い込まれた場合の環境汚染や機器損傷を防ぐことができます。

間違った真空引きが招くトラブル例

DIYでありがちな失敗例として、「冷媒を抜かずに真空引きをしてポンプが壊れた」「冷媒の再充填後も効きが悪く、原因が水分混入だった」というトラブルが多数報告されています。

これらは冷媒残留・真空引き不良・水分除去不足が原因であり、手順通りの作業がいかに重要かを示しています。

まとめ:冷媒が残ったままの真空引きはNG!

カーエアコンの真空引きは、冷媒回収・配管の完全な脱気・漏れ確認といったプロセスを丁寧に行う必要があります。冷媒が残ったまま真空引きをしてしまうと、真空ポンプの故障や環境への影響だけでなく、法律上の問題も発生します。

安全かつ確実に作業するためには、専門業者に依頼するか、必要な設備と知識をしっかり準備したうえで行うことをおすすめします。

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