新車購入時に「一括払いで支払います」と伝えたにもかかわらず、ディーラーがあえてローンを勧めてくることに疑問を感じた方も多いのではないでしょうか。ローンには利息がつくにもかかわらず、なぜ販売店側は積極的に提案してくるのか――その背景には、ディーラー側の事情やインセンティブ制度が関係しています。本記事では、その理由をわかりやすく解説します。
理由①:ローン契約による販売インセンティブがあるため
ディーラーがローンを勧める最大の理由は、販売報奨金(インセンティブ)の存在です。ディーラーが特定のローン会社(メーカー系ファイナンスなど)を通じてローン契約を成立させると、1件ごとに数万円〜十数万円の報奨金が支払われる仕組みがあります。
この報酬は販売成績にも直結するため、営業担当者にとってローンの提案は重要な営業活動のひとつとなっているのです。
理由②:ローン契約によって客との接点を長期的に保てる
ローンでの購入では、契約期間中のメンテナンスパックや車検、定期点検、保険の更新などでディーラーと顧客との接点が増えます。これにより、長期的な顧客管理(囲い込み)がしやすくなるという利点があります。
さらに、次の車の買い替えやローンの残価設定による再契約の提案など、継続的な営業機会が生まれる点も、ローン契約を推進する理由の一つです。
理由③:ローン金利収入を見込んだビジネスモデル
ディーラーや提携金融機関は、ローン金利によって収益を得ています。特にメーカー系のファイナンス会社では、車の販売とローンをセットにすることで、自社内での資金回収サイクルを完結させる仕組みになっており、金利収入はビジネス上の柱となっています。
たとえば年利3.9%のローンを5年間利用すると、合計数十万円の利息が発生し、これが金融側の収益となります。ディーラー側にもその一部が還元される場合もあります。
理由④:残価設定ローンを活用した販売戦略
近年増えている「残価設定型ローン(リースに近い仕組み)」では、月々の支払いを抑えつつ定期的に車を乗り換えさせる販売スタイルが主流になっています。これにより、定期的に新車を購入する流れができ、メーカーや販売店にとっては安定した売上が見込める仕組みです。
このスタイルもローンを前提に成り立っているため、販売時にはローン利用を強く勧められることがあります。
一括払いとローン払い、それぞれのメリット・デメリット
支払い方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
一括払い | 利息がかからない/資産価値を即所有できる | 手元資金が一度に減る/特典が少ない場合がある |
ローン払い | 資金計画が立てやすい/特典や割引があることも | 利息負担が発生する/契約に制約がある |
一括払いは経済的負担が軽く済む一方、営業的にはディーラーにとって旨味が少ないのが実情です。逆にローン払いでは金利や特典などを総合的に考慮する必要があります。
まとめ:ローンを勧められる理由を理解して賢く選ぶ
ディーラーがローンを強く勧める背景には、販売インセンティブ、顧客との継続的な関係、金融収益の確保といったビジネス上の戦略があることがわかります。
購入者としては、これらの仕組みを理解したうえで、自分にとって最も合理的な支払い方法を選ぶことが大切です。必ずしもローン=損とは限らず、時には金利ゼロキャンペーンやメンテナンス付きプランが有利になることもあるため、条件を比較検討しながら判断しましょう。
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