倉庫作業や運送の現場でよくある疑問のひとつに「重量物はトラックのどこに積むべきか?」というものがあります。パレットに積載された製品の重さがまちまちである場合、誤った位置に積載してしまうと、車両のバランスを崩したり、最悪の場合は事故の原因になりかねません。本記事では、トラックの構造と重量配分の基本に基づいて、安全で効率的な積載方法を解説します。
トラックの重量バランスの基本を知ろう
トラックは基本的に前輪(フロント)よりも後輪(リア)に多くの荷重がかかるよう設計されています。特に中型・大型車は後輪のすぐ上、もしくはその前方付近が最も荷重に耐えられる構造になっているため、重量物の積載にはこのエリアが適しています。
逆に、荷室の一番後ろに重量物を積むと後部が沈みこみ、ハンドリングが不安定になるばかりか、急ブレーキ時に荷崩れや前のめりの危険が増します。
理想的な積載位置は「後輪付近から前方」
もっとも推奨されるのは、「後輪のやや前方~直上あたり」に重量物を配置することです。この位置は車両のバランスを安定させる重心の中心に近く、走行中のブレを最小限に抑えることができます。
軽量物はこの後に続くように中間~後方へ配置するのがベストです。後方に軽い荷物、中央に中量物、前方(後輪付近)に重量物という構成が理想です。
積み込み順序とバランス配分のポイント
- 1番目:重量物(500kg以上)を後輪付近へ
- 2番目:中量物(100〜500kg)をその後方または手前に
- 3番目:軽量物(〜100kg)を後方または空いたスペースに
このように重量ごとに段階的に積み込むことで、荷崩れの防止にも繋がります。また、パレットのサイズや段積みの有無も考慮し、重いパレットはなるべく下段に配置しましょう。
安全な走行のために意識すべきこと
バランスの悪い積載は、ブレーキ性能や旋回時の安定性にも悪影響を及ぼします。トラックドライバーの多くは「荷物の積み方で運転のしやすさがまったく違う」と口をそろえます。
とくに雨天や雪道など滑りやすい状況では、重心が偏っているとスリップや横転のリスクも。積載後には、タイヤの空気圧やサスペンションの沈み込みなども簡易チェックすることが推奨されます。
現場で使える実例:フォークリフト作業員向け
例えば、500kgの重い製品を積むとき、まず後輪から1〜1.5mほど前方のスペースに配置し、同一の重いパレットは左右に分散しながら積むのが理想です。その後、中量のパレットを順に配置し、最後に軽量物を後方に積載することで、トラックの挙動は大きく安定します。
また、荷室の左右にバランス良く荷物を配置することも大切です。片方に偏ると片輪に負荷がかかり、タイヤの異常摩耗や横転リスクが高まります。
まとめ:安全な積載がドライバーの命を守る
重量物の積み込みは、ただ積めばいいというものではありません。車両の構造を理解し、重心のバランスを意識することで、トラックの安定性が向上し、事故リスクの低下にもつながります。
倉庫作業員とドライバーが連携し、荷重バランスを意識した積載を行うことは、物流全体の安全性向上に直結します。今後の積み込み作業において、ぜひこの記事の知識を活かしてください。
コメント