交通ルールは安全を守るために定められていますが、場面によって適用される内容が異なることもあります。特に「見通しの悪い交差点」での走行については、正しい知識を持っていないと違反や事故の原因になりかねません。この記事では、徐行の必要性や一時停止標識がある場合の対応、実際の交通ルールを元に丁寧に解説します。
道路交通法における「徐行」とは?
「徐行」とは、すぐに停止できるような速度での走行を指します。明確な速度は定義されていませんが、一般的に「時速10km以下」が目安とされています。つまり、ただ減速するだけではなく、ブレーキを踏まずにすぐ止まれる程度でなければなりません。
徐行が義務付けられている状況には、見通しの悪い交差点、指定された徐行場所、学校周辺、踏切などがあります。
見通しの悪い交差点での対応義務
道路交通法第36条第1項では、「交差点において、見通しがきかない場合は徐行しなければならない」と明記されています。つまり、交差する道路に一時停止標識があったとしても、自車が通行する道路が見通し不良であれば、徐行義務は免れません。
一方通行であっても、見通しが悪ければ徐行が必要です。安全確認できるまでの速度調整が求められます。
一時停止標識がある道路との関係性
一時停止の標識が交差する道路にあっても、それはその道路を通行する車両への義務であって、見通しの悪さに対する対応義務は別に存在します。つまり、自車が優先道路にいても「見通しが悪い交差点であれば徐行が必要」です。
このため、優先道路だからといってスピードを出したまま進入すると、法令違反になるだけでなく、万が一出合い頭の事故が起きた場合に過失割合が増すこともあります。
実例:交差点事故における判例と責任割合
過去の判例では、見通しの悪い交差点で一時停止のない道路を走行中の車が、停止標識のある道路の車と出合い頭で衝突した場合でも、「徐行しなかった側に過失あり」とされたケースがあります。
例えば優先道路を制限速度で走行していたとしても、見通しが悪い状況で事故を回避できなければ、「安全運転義務違反」として責任を問われることがあります。
どのように判断するか?現場での対応方法
ドライバー自身が「見通しが悪い」と感じた時点で、徐行するのが基本です。例えば、塀や建物が視界を遮っている、植え込みで角が見えない、道路の傾斜で交差点内が確認できない場合などが該当します。
たとえ交差点に信号がなくても、歩行者や自転車が飛び出す可能性があるため、減速・徐行は常に意識すべきです。運転に慣れている人ほど見落としやすいため、注意が必要です。
まとめ
見通しの悪い交差点では、たとえ交差道路に一時停止標識があっても、自車は必ず徐行しなければなりません。これは道路交通法で明確に定められた義務です。事故を防ぐためにも、「優先道路だから大丈夫」という思い込みを捨て、常に視界と状況に応じた運転を心がけることが大切です。
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