バイクのカスタムや登録に関しては、法令の遵守が第一です。近年では「50cc以上のバイクにパワーリミッターを付けて、原付登録と小型登録の両方を行いたい」という声も聞かれますが、このようなナンバーの二重取得は可能なのでしょうか?この記事では、その法的背景や技術的な問題点を整理しながら解説します。
ナンバーの二重取得は制度上認められていない
日本国内において、同一車両に対して複数のナンバーを同時に登録することは不可能です。原付一種(〜50cc)や小型二輪(51cc〜125cc)の登録区分は排気量や構造に基づいて明確に区分されています。
仮にリミッターを装着して50cc相当に性能を落としても、車検証上の排気量や構造が変わらなければ原付としては登録できません。あくまで構造変更の届出と行政手続きが必要です。
リミッター装着と登録変更の関係
パワーリミッターを装着しても、それは「性能変更」であり、「構造変更」とはみなされません。たとえば、エンジン自体の排気量を実際に縮小するか、車体の認証が変わるような大幅な加工をしなければ、原付として登録する根拠にはなりません。
また、原付と小型では保安基準や制限速度、ナンバーの色、保険制度も異なるため、行政側が一台の車両に2つの登録を認めることは制度的にあり得ません。
原付相当の出力で走行する目的は違反になるのか?
仮に125ccバイクにリミッターを付けて50cc相当の出力に抑えて走行しても、それがナンバープレートで原付登録されていない限り、取り締まり対象となります。つまり、エンジン出力を下げることと、登録の区分は別問題として扱われます。
ナンバーが小型のままであれば、原付の制限速度(30km/h)や通行禁止規制の対象にはなりません。逆に、原付ナンバーを取得していても構造が50ccを超えていれば、それは違法改造車とみなされます。
登録区分と保険・税金の仕組み
原付一種・二種と小型以上のバイクでは、軽自動車税、強制保険(自賠責保険)の料率や区分も異なります。このため、ナンバーを2種類取得して使い分けることは、行政側でも課税管理や保険管理の整合性が取れなくなります。
維持費を二重に払うことが前提であっても、制度がそれを前提として設計されていないため、登録上は認められません。
実例とリスク:過去にあった違法登録ケース
過去には、違法に排気量を変更して複数ナンバーを使い分けるユーザーが摘発された例もあります。とくに中古市場で不正登録のまま販売されている車両には注意が必要です。
こうした事例では道路運送車両法違反となり、最悪の場合は車両の差し押さえや罰金、使用停止の処分を受けることもあります。
まとめ:1台1登録が原則。制度を正しく理解しよう
結論として、50cc以上のバイクにパワーリミッターを装着して原付ナンバーと小型ナンバーの二重登録を行うことは、制度上不可能であり違法となります。車両1台につき登録区分は1つ、というのが道路運送車両法の基本原則です。
カスタムや登録変更を検討している場合は、認証工場や運輸支局に相談することをおすすめします。法令を理解したうえで、安全で快適なバイクライフを楽しみましょう。
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