近年、排ガス規制や騒音規制が強化される中で、かつての2ストローク(ツースト)バイクに乗るライダーは増加する規制に不安を感じることもあるでしょう。特に、旧車特有の大きな排気音が「音量規制に違反しているのでは?」と気にする方も多いのではないでしょうか。今回は、NSR250Rなどのツースト車における音量規制の現状や、警察の対応、さらに測定中のエンジントラブル時の責任について詳しく解説していきます。
ツーストロークバイクは音量規制に抵触するのか?
結論から言えば、ツーストロークバイクでも「基準値を超えなければ合法」です。音量の規制値は年式や型式によって異なります。たとえば、1980〜1990年代の車両であれば、現行の規制よりも緩やかな基準が適用されています。
NSR250R(MC18)のようなバイクは当時の型式認定に基づいた規制値が適用されているため、マフラーが純正または認定社外品であれば違反にはなりません。とはいえ、無改造であっても音が大きく感じられるのは2スト特有の排気音の性質によるものです。
警察の対応:旧車への取り締まりは甘い?
「警察は旧車に対しては手を出さない」という声もありますが、これは一部誤解を含みます。実際には、違法な改造(排気音量の過剰、排ガス装置の取り外しなど)が確認された場合は年式に関係なく取り締まり対象です。
ただし、年式ごとに異なる規制があるため、警察側も現場判断で「古い型式で基準が緩い可能性がある」と判断し、積極的に音量測定を行わない場合もあります。つまり、「古いから取り締まられない」のではなく、「基準が異なるため慎重に判断されている」と言えるでしょう。
音量測定中にエンジンが焼き付いたら?責任は誰に?
仮に音量測定中にエンジンが焼き付いた場合、その責任の所在は非常にグレーです。原則として、車両の整備不良が原因であれば、警察に損害賠償を請求するのは難しいとされています。
一方で、明らかに警察官の不適切な操作(過度な回転数の維持、明らかなオーバーレブなど)が原因であれば、損害賠償の対象となる可能性はありますが、立証が困難なケースが多いです。基本的には、測定に耐えうる状態であることが前提とされます。
音量測定の方法と注意点
測定は、主に「近接排気騒音測定法」によって行われます。これはアイドリングや指定された回転数でマフラー近くにマイクを置き、騒音レベル(dB)を測定する方式です。一般的に旧車の許容値は94dB〜99dB程度が多く、純正状態であれば大きな問題になることはほとんどありません。
ただし、レース用マフラーなどが装着されていると簡単に基準を超えてしまうこともあるため、心配な場合は事前にテスターを使って自己測定しておくのが安心です。
実例:NSR250Rオーナーの体験
あるNSR250R(MC18)オーナーの体験では、警察に数度止められたものの、音量測定までは行われず「大切にしてください」と言われる程度だったそうです。このような対応は「旧車文化への理解」や「当時の基準を踏まえた運用」が影響している可能性があります。
とはいえ、地域や担当官の方針によって対応は異なります。マナーを守り、過度な排気音や迷惑行為を控えることが最も大切です。
まとめ|旧車乗りが知っておくべき音量規制のリアル
ツーストバイクに対する音量規制は、年式や型式によって異なり、現行車と同じ基準が適用されるわけではありません。そのため、警察の対応が柔軟に感じられることもありますが、違法改造であれば当然取り締まり対象となります。
音量測定中のエンジントラブルに関しては、警察に賠償を求めるのは現実的には難しいため、車両の整備を万全にしておくことが重要です。安全かつ適切な状態で2ストの魅力を楽しむために、日常の点検や法令知識のアップデートを心がけましょう。
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