「精神科に通っていると免許が取れないのでは?」と不安に感じる方は少なくありません。特に統合失調症や双極性障害、てんかんなどの疾患は、運転に支障があると見なされる場合もあります。しかし、必ずしも精神疾患があるからといって免許が取得できないわけではありません。この記事では、公安委員会の判断基準や診断書提出の必要性、免許取得の流れについて詳しく解説します。
精神疾患と運転免許の関係|法律上の規定は?
道路交通法第88条・第90条では、一定の病気や障害によって安全な運転に支障を及ぼす恐れがある人に対して、運転免許の取得や更新を制限できることが定められています。
該当する主な精神疾患は以下のとおりです。
- 統合失調症
- 双極性障害(躁うつ病)
- てんかん
- 重度の知的障害
- 自閉症スペクトラムのうち日常生活に支障のあるレベル
これらの病気がある場合、自動車教習所への入校や免許試験の申請時に、公安委員会から「指定医の診断書」を求められることがあります。
診断書は必須?それとも申告制?
運転免許の取得・更新において、精神疾患に関する診断書の提出が必要かどうかは、「本人が病歴や症状を申告するかどうか」によって変わります。申請時の質問票には、病歴や発作・意識喪失の有無などが記載されています。
この質問票で「はい(該当あり)」と答えた場合、公安委員会が必要と判断すれば、精神保健指定医による診断書の提出を求められることになります。逆に、現在安定していて症状がなく、医師から運転可能と判断されていれば、問題なく免許取得ができることもあります。
診断書が必要になる流れと内容
診断書は一般の精神科医ではなく、「精神保健指定医」の資格を持つ医師に作成を依頼する必要があります。診断書には以下のような内容が含まれます。
- 現在の病名・診断名
- 症状の有無(幻覚・妄想・衝動性・意識障害など)
- 過去の発症歴や交通事故歴
- 運転に支障がないと医師が判断しているか
提出された診断書は公安委員会の判断材料となり、最終的に「免許取得可能」または「不可」が通知されます。
精神疾患を持つ人が通勤で車を使っている場合は?
精神科に通院している方でも、診断内容や病状が安定していれば、自家用車での通勤や業務に従事している人は実際に多くいます。彼らの多くは、医師の指示のもと、安全運転に支障がない状態で運転しています。
つまり、精神疾患=免許NGではなく、「その時点の状態」が重要です。たとえば双極性障害であっても、寛解状態が続いていれば診断書提出なしで免許を維持している方もいます。
教習所に入れないケースもある?
一部の教習所では、公安委員会の通達に準じて、入校前に「精神疾患の有無」を確認し、該当者には事前に診断書の提出を求める場合があります。これは免許の交付可否が不透明な場合、教習所の責任回避のためです。
ただし、診断書を提出すれば入校が拒否されるというわけではなく、審査結果次第で普通に教習を受けられるケースも多いです。
まとめ:精神疾患と運転免許は「症状次第」で判断される
精神疾患を持つ方でも、症状が安定していて、専門医が「運転に支障がない」と判断すれば免許取得は可能です。Xで出回っているような「絶対に教習所に入れない」という情報は、やや誤解を含んでいます。
大切なのは、自己申告と医師の適切な判断をもとに、安心・安全に運転できるかを確認すること。もし不安がある場合は、警察庁や各都道府県の公安委員会に相談するのが確実です。
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