ヤマハZK Evolutionという原付スクーターに120km/hまで刻まれたスピードメーターが付いているのを見て「これ本当に50cc?」と驚いた方も多いでしょう。日本の原付一種は法的には最高速度30km/hと決められているにもかかわらず、なぜそんな高い速度まで表示があるのか?今回は、その背景と理由、そして過去の50ccモデルの実態について解説します。
ヤマハZK Evolutionとは?
「ヤマハZK Evolution」という名前は正確にはヤマハ公式の国内モデルには存在していませんが、実際には海外市場向けのヤマハ製スクーターや台湾・中国OEMメーカーが生産したヤマハ系モデルで流通していた可能性が高いです。
特に台湾や東南アジア市場では、50ccクラスのバイクでもメーター表記が100km/h以上のモデルが珍しくありません。日本に逆輸入されたり、個人輸入された可能性もあるでしょう。
なぜ120km/h表示のスピードメーターが付いているのか?
50ccのバイクに120km/hまで表示されたスピードメーターが付いている理由には、以下のような事情があります。
- 流用メーターの装着:社外パーツや他車種からの流用によって高目盛のメーターが装着されている
- 輸出仕様車:日本よりも制限速度が高い国では、高速巡航を前提にしたメーターを装備している
- 見た目重視・ドレスアップ目的:メーターの目盛りが大きい方が「速そう」に見えるという美的感覚
たとえば、一部の中国製や台湾製スクーターでは、デザイン上の理由で120km/hメーターを装着しており、必ずしもその速度が出るわけではありません。
昔の50ccにも120km/hメーターはあった?
1980年代〜90年代にかけて、一部の高性能50cc(いわゆる”原付レーサー”)には100km/h超のスピードメーターが装備されていたモデルが存在しました。
例として。
- ヤマハTZR50:メーター読み120km/h表記
- ホンダNSR50:110km/hメーター
- スズキRG50Γ(ガンマ):120km/hメーター
これらは2ストローク高回転型エンジンを搭載し、ノーマルでも80km/h前後、改造すれば100km/hオーバーも可能という時代の産物です。スクータータイプでは少ないですが、スポーツモデルでは珍しくありませんでした。
スピードメーターの表示は「性能」ではなく「表示器」
メーターに書かれた最高速度は、必ずしも実際にその速度が出せることを意味しません。メーターのスケールは設計の都合やデザイン上の理由で決まっており、精度や実速度とは必ずしも一致しないのです。
また、120km/hの表記があることで違法だとか改造扱いになることはありません。違法性が問われるのは、「制限速度を超えて実際に走行したとき」や、「ナンバー区分を偽って登録したとき」などに限られます。
中古で見かける“怪しい”高目盛メーター付き車両には注意
中古車市場では、こうした高目盛メーター付きのスクーターが販売されているケースもあります。購入時には以下の点をチェックしておきましょう。
- メーターが正規品か社外品か
- 車体番号からモデル名と年式を確認
- 排気量と登録区分(50cc/原付一種)に間違いがないか
必要であれば、販売店や市町村の原付登録担当窓口で確認すると安心です。
まとめ:120km/hメーターは昔から存在するが速度とは別物
ヤマハZK Evolutionに120km/h表示のスピードメーターが付いていたとしても、必ずしもそれが高性能である証とは限りません。見た目やパーツの流用、輸出仕様など複数の理由から採用されていることが多いです。
昔の50ccバイクにも一部存在していた仕様なので、珍しいとはいえ完全な異常ではありません。ただし、購入時や公道走行時には、ナンバー区分や速度違反に十分注意しましょう。
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