病気や障害によって運転免許の更新ができず、やむなく返納するケースは少なくありません。しかしその後、職場などで「運転してくれ」と言われることがあるとしたら、それは重大な問題をはらんでいます。本記事では、免許返納後の運転がなぜ許されないのか、万が一運転した場合の法的リスク、そして職場との向き合い方についてわかりやすく解説します。
免許を返納した後の運転は違法行為
運転免許を返納した人が再び車を運転することは、道路交通法に違反する無免許運転に該当します。無免許運転は刑事罰の対象となり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、事故を起こした場合には任意保険も無効となるため、加害者として高額な損害賠償責任を負うことにもなりかねません。
特発性難聴などの病気と運転免許更新の関係
聴覚は道路交通において非常に重要な感覚の一つです。特発性難聴や突発性難聴によって、一定の聴力を下回ると免許の更新ができないことがあります。これは安全運転に支障をきたすと判断されるからです。
かかりつけ医の判断を基に、免許更新を断念し返納された場合、それは正当な手続きによるものであり、法的に「運転してはいけない人」と見なされます。
会社から運転を求められた場合の対応
会社の指示であっても、免許を持たない人が運転をすることは違法です。命令した上司や会社側も、道路交通法違反の教唆・幇助として責任を問われる可能性があります。
そのため、会社側にはしっかりと免許返納の事実とその理由を説明し、書面での報告を残すことが望ましいです。万が一圧力が強い場合は、労働基準監督署や法テラスなどの外部機関への相談も検討しましょう。
免許返納者にできる業務と代替手段
免許がなくても可能な業務を探し、配置転換や業務内容の見直しを会社に相談するのが現実的な解決策です。また、送迎が必要な業務がある場合はタクシー代の支給や他の社員との同行など、代替案を会社側が準備するのが本来の姿勢です。
実際に、聴覚障害者の方が社内で事務業務に転換されたケースや、社用車の使用がない部署に異動された事例もあります。
無免許運転が招く重大リスク
事故を起こした場合、任意保険は一切適用されず、数千万円単位の損害賠償を請求されるケースもあります。運転を依頼した会社にも安全配慮義務違反や使用者責任が問われる可能性があり、会社ごと大きな法的責任を負うことになりかねません。
まとめ:返納後の運転は絶対NG。会社の指示でも断固拒否を
免許返納後の運転は法律で明確に禁止されており、個人にも会社にも大きなリスクをもたらします。病気や障害による事情を理解してもらい、安全かつ法的に正しい対応を取ることが、本人と職場双方にとって最良の選択です。
もし会社からの圧力に困っている場合は、法テラスや労働基準監督署などに相談しましょう。
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