アドレスV100(CE13)に限らず、クランクシャフトのねじ山が潰れてしまうトラブルは、多くのスクーターで発生しうる問題です。交換が理想とはいえ、費用や時間の都合から「なんとか補修できないか」と考える方も多いでしょう。本記事では、ねじ山を再生・補修する方法を中心に、交換以外の選択肢を解説します。
なぜねじ山がなめるのか?基本的な原因を把握しよう
クランクシャフトのねじ山がなめる主な原因には、トルクのかけすぎ、ネジの斜め挿し、経年劣化などが挙げられます。特にアドレスV100は年式が古くなっている個体も多く、整備時の不注意が原因でねじ山がダメージを受けやすくなります。
トラブルの予防には、トルクレンチの使用や、ネジ山清掃の徹底などが効果的です。
応急的な補修法①:タップ切り直し
ねじ山が完全につぶれていなければ、まず試したいのがタップによるねじ山の再形成です。専用のタップ工具を使って、ねじの規格に合うように切り直すことで、再利用が可能になる場合があります。
ただし、ねじ山が浅くなり強度が落ちるため、ロックタイトなどのねじ緩み防止剤を併用するとより安心です。
応急的な補修法②:ねじ山補修キット(ヘリサートなど)を使う
ヘリサートやリコイルインサートは、なめたねじ穴にスプリング状の金属を埋め込み、本来のねじ山を復活させる補修キットです。内径を広げてからインサートをねじ込む必要があるため、慎重な作業が必要ですが、確実な補修が可能です。
工具の種類によっては1,000円〜3,000円程度で入手できるため、交換よりコストを抑えられるのも魅力です。
応急的な補修法③:ねじロック剤と異径ナットで一時対応
どうしても急ぎで仮止めが必要な場合は、ねじロック剤(強度高め)を併用し、やや大きめの異径ナットを使用して仮固定する方法もあります。これは応急処置であり、長期運用には向きませんが、数日程度の走行は可能な場合があります。
ただし、固定の確実性には欠けるため、安全上の不安が残る点を理解した上で実行しましょう。
クランクシャフト交換の費用と判断基準
補修が難しい場合、最終的にはクランクシャフトの交換が必要です。工賃込みで2万円〜4万円程度が相場ですが、中古エンジンを探すことで費用を抑えることも可能です。
他の箇所も摩耗・劣化しているなら、いっそエンジン全体のリフレッシュを考えるのもひとつの選択肢です。
まとめ:状況に応じた補修法の選択を
ねじ山の損傷は、走行中の重大なトラブルにつながる恐れがあります。応急処置も可能ではありますが、安全性を確保するためには根本的な修理、あるいは交換が望ましいです。
状況に応じてタップの切り直し、ヘリサート補修、ねじロック剤などの対処法を検討し、必要に応じてプロに相談することをおすすめします。
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