NS-1(前期型)にパワーフィルターを装着すると、吸気量が増えることで燃調バランスが崩れやすくなります。特に純正キャブのままでは空燃比が薄くなりすぎ、エンジンの調子が悪くなるケースも少なくありません。本記事では、燃調を適切に合わせるためのメインジェット(MJ)・スロージェット(SJ)の選定方法を実例を交えて解説します。
パワーフィルター装着による燃調の変化
パワーフィルターは純正エアクリーナーに比べて吸気抵抗が少なく、結果として多くの空気がキャブレターに流入します。そのため、空気量に対してガソリンが不足する“リーン(薄い)”状態になりやすく、焼き付きの原因にもなり得ます。
このような状況では、キャブレターのジェット類を大きくすることで、ガソリンの供給量を増やす調整が必要になります。
NS-1前期型の純正ジェット構成を確認
NS-1(前期型)の純正キャブレターはPE24相当で、純正メインジェットは#88~#92前後、スロージェットは#38~#42が一般的です。ただし、使用環境や製造時期によって若干異なる場合もあるため、現状のジェット番手を確認することがスタートです。
キャブレターを開けて、ジェットの刻印を確認するか、パーツリストで確認しましょう。
おすすめのジェット番手と選び方のコツ
パワーフィルターを装着している場合、メインジェットは#100~#110程度、スロージェットは#42~#45程度にアップさせるのが目安です。これにより、全開域とアイドリング~中速域の燃調が濃くなり、安定性が増します。
例として、純正#90から#105に交換し、スロージェットも#38から#45に変更したところ、始動性と吹け上がりが大幅に改善されたという報告があります。
ジェット交換時の注意点とセッティングの流れ
ジェットを交換する際は、キャブレターを取り外し、フロートチャンバーを開けて行います。ネジをなめないように注意し、ガスケット類も確認しましょう。
セッティングは次のような手順がおすすめです。
- スロージェットを純正+2~3番に変更
- メインジェットを+10~15番に変更
- エンジン始動後、スロットルレスポンスやプラグの焼け色を確認
- 必要に応じて再調整
調整がうまくいかない時の対処法
それでも調子が合わない場合は、以下の項目を再チェックしましょう。
- プラグの番手は適正か(#7または#8)
- キャブ内部にゴミがないか
- エアスクリューやアイドルスクリューの調整は適切か
- 吸気経路に二次エアを吸っていないか
燃調が薄すぎる状態は焼き付きのリスクがあるため、十分な試走とプラグチェックを行ってください。
まとめ
NS-1前期型にパワーフィルターを装着した際は、メインジェット#100~#110、スロージェット#42~#45を目安にセッティングを行うことで、適正な燃調に近づけることができます。あくまで基本の目安であり、実際の使用環境や個体差によって微調整が必要です。安全かつ快適な走行のために、セッティングには手間を惜しまないようにしましょう。
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