近年、新型ランドクルーザー(ランクル)の人気が高騰し、納車まで数年待ちという状況も珍しくありません。こうした背景から、一部の車屋が新車同然のランクルを定価より高く販売しているケースが目立っています。しかし「これはトヨタの転売禁止規約に違反しないのか?」という疑問も多く寄せられています。本記事では、トヨタの転売規制と中古車販売業者の立ち位置、そして消費者が注意すべき点について解説します。
トヨタの「転売禁止」規約とは?
トヨタ自動車は2021年頃から「ランドクルーザー300」など一部車種の購入者に対して、購入から1年以内の第三者への譲渡(転売)を禁止する規約を設けています。違反が確認されると、今後トヨタ車の注文ができなくなる可能性があります。
このようなルールは、国内外の買い占め・高額転売による市場混乱を防ぐことが目的です。購入時には「誓約書」にサインさせられることがほとんどです。
中古車販売業者はどうして売れるのか?
それでも実際には、多くの中古車販売店がランクルを高額で販売しています。これは、「業者がメーカーから直接仕入れているのではなく、個人から買い取った車両」を扱っているためです。
トヨタの転売規制はあくまで「新車購入者」に向けたものです。そのため、中古車販売業者が買い取って販売すること自体には法的な問題はないというのが実態です。
違法になる可能性のあるケースは?
とはいえ、名義変更直後の車両や、登録から日が浅い車両が業者の在庫にある場合には、「ダミー購入」や「代理購入」といった違法性が問われる可能性もあります。
たとえば、車屋が第三者に新車を買わせ、そのまま買い取るという「迂回取引」は、実質的な転売に該当し、トヨタの意図に反する行為です。このような行為は、メーカーに発覚した場合に購入者・業者双方が不利益を被る可能性があります。
購入者が気を付けるべきポイント
ランクルのような人気車種を中古市場で購入する際には、車両の初度登録日や所有者履歴の確認が重要です。販売価格が高額でも、正規の流通ルートで流れてきた車であれば問題はありません。
しかし、あまりにも登録直後の車や、「ほぼ新車状態」で高額販売されている車には注意が必要です。トヨタの販売規約違反に該当する可能性がある場合、将来的なリコール対応やメーカー保証が受けられないこともあります。
転売に厳しくなっている業界の動き
近年、自動車業界では「高額転売」への規制が強化される傾向にあります。特に海外輸出目的の買い占めや、利益目的の短期売却が問題視されているため、トヨタ以外のメーカーでも同様の誓約書導入が進みつつあります。
今後は、メーカーと販売店の間で情報共有が進み、転売対策がさらに強化される可能性が高いでしょう。
まとめ:転売対策と中古車流通は別物、見極めがカギ
トヨタの転売対策は、新車購入者による不正な販売を防ぐためのものであり、中古車業者が高額で販売しているランクルの多くは「合法的な再販」であることがほとんどです。
しかし、販売ルートや仕入れの経緯が不透明な場合もあるため、購入の際には詳細をしっかり確認することが大切です。不安があれば、信頼できるディーラーや中古車販売業者から購入しましょう。
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