2025年5月、日産自動車が神奈川県内の追浜工場(横須賀市)と湘南工場(平塚市)の閉鎖を検討しているとの報道があり、地域社会に大きな波紋を広げています。これらの工場は日産の創業地であり、地域経済や雇用に深く関わってきました。
追浜・湘南工場の概要とその役割
追浜工場は1961年に操業を開始し、約3,900人の従業員を抱え、電気自動車「リーフ」や小型車「ノート」などの生産を手がけてきました。一方、湘南工場では商用バン「NV200バネット」などを製造し、約1,200人の従業員が勤務しています。これら2工場の生産能力は、国内全体の約3割に相当するとされています。
地域経済への影響
工場の閉鎖は、直接的な雇用喪失だけでなく、関連企業や地元商店街にも大きな影響を及ぼすと懸念されています。追浜工場周辺の商店街では、従業員や下請け企業の関係者が日常的に利用しており、工場の稼働停止は地域経済の縮小を招く可能性があります。
地元自治体と経済界の反応
神奈川県の黒岩祐治知事は「影響は相当だろう」と述べ、横須賀市の上地克明市長も「市にお住まいの従業員や家族も多数いる。報道が事実であるならば残念」とコメントしています。また、横須賀商工会議所の平松広司会頭は「工場に出入りしている地元企業にとっては大きな問題だ」と述べ、地域経済への打撃を懸念しています。
全国的な影響と今後の展望
日産は、2027年度までに世界の完成車工場を17から10に減らす方針を示しており、国内外での生産能力の削減を進めています。追浜・湘南工場の閉鎖は、国内の完成車工場が栃木、福岡県苅田町の2拠点のみとなることを意味し、日本国内の自動車産業の構造にも大きな変化をもたらす可能性があります。
まとめ
日産の追浜・湘南工場の閉鎖検討は、地域経済や雇用に深刻な影響を及ぼす可能性があります。地元自治体や経済界はその影響を懸念しており、今後の動向に注目が集まっています。企業の経営再建と地域社会の持続可能性のバランスをどう取るかが、今後の重要な課題となるでしょう。
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