車検や構造変更時などに関わる「近接排気騒音」の測定について、どの車両が対象となるのかは意外と分かりづらいものです。この記事では、自動車検査員や整備士の方にも役立つよう、近接排気騒音の測定が必要な車両の判断基準や注意点をわかりやすく解説します。
近接排気騒音とは?その目的と測定位置
近接排気騒音とは、車両の排気口から50cm離れた位置で測定される騒音レベルのことを指します。これは実際の運行中の騒音を再現するもので、車両の静粛性や環境適合性を判断する指標とされています。
測定はマフラー出口の高さに合わせたマイク位置で行い、エンジン回転数を一定条件で保持して測定します。車検や構造変更、マフラー交換時などにこの測定が求められるケースがあります。
測定が必要な車両とは?基本的な判断基準
次のような車両は、原則として近接排気騒音の測定が必要とされています。
- 純正以外のマフラー(社外品)を装着している車両
- 構造変更または記載変更の届出を行う際に排気系統に変更がある場合
- 新規検査または改造申請時に、排気騒音が基準値の判断材料として必要な場合
逆に、純正マフラーかつ排気経路に変更がない場合や、構造変更と無関係な通常の継続検査では省略されるケースもあります。
具体的な適用例と注意点
たとえば、平成22年規制以降の車両に対し社外マフラーを装着した場合、「性能等確認済表示」が無い限り、近接排気騒音試験を求められる場合があります。特に軽自動車やスポーツカーなどでこの傾向が強いです。
一方で、認証マフラー(JQR認証やJASMA登録)であれば、ラベル提示により測定が不要となることもあります。現場ではこのラベルや証明書の有無を確認することが第一歩となります。
測定方法の概要と機器の取り扱い
測定にはクラス1の騒音計を用い、以下のような条件で行われます。
- アイドリングからの規定回転数(おおよそ75%程度)を保持
- 排気口から50cm、45度の角度でマイクを設置
- A特性・FAST応答で3回測定し、平均を取る
測定者は気温や風速にも注意し、環境条件による誤差を最小限に抑える工夫が求められます。
検査時における実務のヒント
現場でのポイントとしては、まず事前に「マフラー変更の有無」や「認証ラベルの提示有無」を確認することです。加えて、保安基準緩和認定車両や記載変更に伴う個別対応が必要なケースでは、事前の相談や技術情報資料の参照が不可欠です。
また、測定結果が基準値(例:近接排気騒音96dB以下)を超える場合は不合格となるため、再整備や社外マフラーの変更も視野に入れた対応が求められます。
まとめ:近接排気騒音の測定要否は装備と申請内容に左右される
近接排気騒音の測定が必要かどうかは、車両の装備内容や申請手続きの内容によって判断されます。特に社外マフラー装着車両や構造変更を伴う申請時は要注意です。
自動車検査における判断ミスや見落としを防ぐためにも、最新の技術基準や通達内容を把握し、正しい測定と判断を行うことが求められます。
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