車中泊仕様のカスタムとして人気の高いバックドアへのLED増設。しかし、ドアを閉めてしばらく経つとLEDが急に暗くなるという相談を受けることがあります。本記事では、このような症状が起こる理由と、実際に改善するためのポイントを詳しく解説します。
車のルームランプ回路が持つ特殊な制御について知る
多くの車種では、ルームランプ回路に「電流検知」「段階的消灯」「タイマー制御」などの電子制御が組み込まれています。特にハイエースのような商用車でも、この回路は比較的複雑で、ドア連動に合わせて車体コンピュータ(ボディコントロールユニット:BCM)が電流の変化を管理しています。
たとえば純正ランプを取り外し消費電力を下げると、BCMが「負荷が足りない」と判断して電圧を一時的に調整するケースがあります。これがLEDが暗くなる原因につながることもあります。
LEDが暗くなる典型的な原因(抵抗不足・電圧制御・負荷認識エラーなど)
今回のように3W×2=6WのLEDに交換すると、純正の約8Wと比べて2W程度の差が生じます。消費電力が低いと、車側が「負荷なし」と認識してしまうことがあり、これが弱電力でしか電流が流れない状態を引き起こすことがあります。
特に「ドアを閉めて30分後に暗くなる」という現象は、車側のタイマー制御が働き、回路への出力を抑制する動作と一致する場合があります。
ドアを開けると復帰する理由とその仕組み
ドアを開けた瞬間にLEDが明るさを取り戻すのは、BCMが「ドアオープン=ルームランプ全開出力」と判断するためです。ここでは最大電圧(約12V)が安定して供給されるため、LEDも正しい明るさを発揮します。
しかし一度ドアを閉めて一定時間が経過すると、BCM側の処理で“連続点灯ではない=負荷軽減モード”として電圧が抑制され、結果的にLEDの明るさが4割程度まで落ちてしまうことがあります。
改善策:抵抗追加・リレー追加・電源の取り直しなど
LEDが暗くなる症状を改善する定番の方法はいくつかあります。最も簡易的な方法は、純正に近い負荷となるように2W〜3Wの抵抗を追加すること。これにより車側が「正常な電流が流れている」と判断し、暗くなる現象が改善されることがあります。
また、より確実な方法としてはバックドアLED用の独立回路を作り、ルームランプ回路はスイッチ制御の信号線として利用するという手段があります。リレーを使うことで、安定した電源(アクセサリー電源や常時電源)からLEDに供給できるため、電圧低下の影響を受けなくなります。
実例:ルームランプLED化で起きやすいトラブル
あるユーザーは、車中泊用のLEDを純正ルームランプと交換して使っていたところ、1時間ほど経つとほぼ豆電球のような明るさになってしまうという症状に悩まされていました。原因はやはり負荷不足による電圧制御で、抵抗を追加しただけで正常に点灯するようになったといいます。
別のケースでは、LEDの安定化電源不足による電圧ドロップが起きており、定電流ドライバー内蔵のLEDに交換することで改善した例もあります。
まとめ:LEDが暗くなる原因の多くは“車側の制御”にある
ハイエースのバックドアLEDが時間経過で暗くなる現象は、単なる配線ミスではなく、車体側の電子制御がLEDの低消費電力を“異常”と判断することで起こる場合がほとんどです。抵抗追加や専用回路の作成で改善できるため、自作カスタムの際は負荷値にも注意しながら作業することが大切です。


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