自動車メーカーの「販売台数」の本当の意味とは?出荷台数と販売実績の違いを解説

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ニュースなどで「トヨタが年間1,000万台販売」や「ホンダの世界販売台数が好調」といった報道を目にすることがありますが、これらの販売台数が実際に誰に向けた数字なのか、疑問に思ったことはありませんか?この記事では、自動車メーカーが発表する「販売台数」の定義とその内訳について詳しく解説します。

「販売台数」はお客さんに売れた台数?

結論から言えば、多くのケースで言う「販売台数」は、販売店(ディーラー)などに卸された出荷ベースの数字、いわゆる「出荷販売台数(wholesale)」を指しています。つまり、メーカーが出荷した時点で「販売」とカウントされるのです。

これは実際のユーザーがその車を購入した「小売販売(retail)」とは異なります。そのため、在庫としてディーラーにある車も「販売された台数」に含まれていることになります。

なぜ出荷ベースでカウントするのか?

出荷台数で管理するのは、各国の自動車メーカーや業界団体での統一的な会計処理や統計ルールに基づいています。出荷した段階でメーカーにとっては売上が立つため、会計上の処理や業績評価にも直結するのです。

たとえば、トヨタ自動車の決算発表で公表される「販売実績」は、ディーラーへの卸数が基本となっており、実際のユーザーへの納車数とはタイミングがずれる場合があります。

国によって異なる「販売台数」の定義

世界的に見ても、各国の報告スタイルは異なります。日本では一般的に出荷ベースの集計が多いですが、アメリカでは小売ベース(実際に顧客に販売された数)で公表されることが多いです。

したがって「アメリカでのトヨタ販売台数が前年比〇%増加」と報道されていたら、それは実際にユーザーが購入した台数である可能性が高いのです。

業界用語:「出荷販売」「小売販売」「登録台数」の違い

用語の混同を防ぐため、主な定義を以下にまとめます。

用語 意味
出荷販売台数 メーカー→販売店へ出荷された台数
小売販売台数 販売店→顧客への実販売台数
登録台数 ナンバー取得など実際に登録された車両数

メーカーのリリースでは多くが「出荷販売台数」であり、「登録台数」は国の運輸当局が集計した実態ベースの数字です。

実例:トヨタのグローバル販売台数

たとえばトヨタは、2023年度に約1,050万台の販売実績を記録していますが、この数字はトヨタ本体に加え、レクサスやダイハツ、日野自動車を含めたグループ全体の出荷ベースでの台数です。

一方で、実際の顧客が購入した台数はこのうち何割かの時差があり、販社の在庫として留まっている車両も含まれます。

まとめ:ニュースの「販売台数」はあくまで出荷の指標

ニュースなどで目にする「販売台数」は、メーカーが出荷した数を指すことがほとんどで、実際に顧客が購入した台数とは異なる場合があります。

「今月はよく売れている!」というニュースも、必ずしもエンドユーザーの購入数とは一致していない点に注意が必要です。数字の裏にある仕組みを知っておくと、自動車業界の動向をより深く理解できます。

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