個人間でバイクを購入した際、知らないうちに盗難車を手にしてしまうケースはゼロではありません。特に、書類の不備や価格が極端に安い場合など、注意すべきポイントを見落とすと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。本記事では、万が一盗難車を買ってしまった場合の流れと対処法について、法的視点も交えてわかりやすく解説します。
盗難車を購入してしまった場合の基本的な流れ
盗難バイクを購入した場合、そのバイクは本来の持ち主に返還されるのが原則です。たとえ盗難車であることを知らずに購入したとしても、そのバイクを自分のものとして保有し続けることはできません。
また、バイクのフレームナンバーが削られていたり、登録書類がない状態での購入は警察から疑われる要因となります。こうしたケースでは、まず警察によって事情聴取が行われ、バイクは押収される可能性があります。
「知らなかった」では済まされない?善意の第三者とは
民法上では「善意の第三者」であれば損害賠償や刑事責任を免れる可能性がありますが、「誰から・どのような状況で購入したか」が重要な判断材料になります。
例えば、バイクの登録書類が一切なく、極端に安価で譲渡された場合、「知らなかった」という主張が通りにくいこともあります。警察や裁判所は、常識的に考えて疑うべき状況だったかどうかを見ています。
罰則や責任はどうなる?
盗難車の購入者が、盗難と知っていて使用していた場合には「盗品譲受罪」(刑法256条)に問われ、10年以下の懲役が科される可能性があります。しかし、知らなかった場合は刑事責任を問われることは少ないとされています。
ただし、事情によっては過失(=注意すれば気づけた)として、民事上の責任を問われることもあります。その場合、被害者である元の所有者にバイクを返還し、損害分の補償を求められることもあるため、「知らなかった」で終わらないケースもあります。
実際に盗難車を購入してしまった人の事例
実例として、ある学生が知人から原付を2万円で購入し、登録書類がないまま乗っていたところ、警察に呼び止められ盗難車と発覚。事情を説明したものの、バイクは押収、知人は窃盗容疑で逮捕されました。本人には刑事責任は問われませんでしたが、バイクは返還されず、金銭的にも損失を被りました。
このように、「安く買えた」と思っても、書類の不備や車体番号の違和感がある場合は、一度警察署で照会してもらうなどの確認作業が非常に重要です。
トラブルを避けるための予防策
盗難車をうっかり購入してしまわないためには、以下の点を意識しましょう。
- 登録書類(販売証明書・譲渡証明書)があるかを必ず確認
- フレームナンバーやエンジン番号が削られていないかをチェック
- 個人間取引なら、可能であればバイクショップを通す
- 不自然な安さや、「今日中に売りたい」と急がせる売主に注意
特にフリマアプリやSNSでの個人売買では、信頼できる取引かどうかを見極めることが重要です。
まとめ
盗難車を知らずに購入してしまった場合、たとえ悪意がなくてもバイクは返還され、金銭的な損失や精神的な負担が生じる可能性があります。個人売買の際は、書類や車体番号などをしっかり確認し、「疑わしいものは買わない」という意識を持つことがトラブル回避の鍵です。被害に遭った場合は、速やかに警察に相談し、正直に事実を伝えることが最善の対応となります。
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