旧車やキャブ仕様のバイク、クルマを愛するオーナーにとって、キャブレターの不具合は避けて通れない問題です。特に「加速ポンプカバーからのフロー(ガソリン漏れ)」は、整備経験が少ないと判断に迷いやすい症状の一つです。本記事では、フロートカバーからではなく加速ポンプカバーからの漏れがあり得るのか、またその原因や対応策について解説します。
加速ポンプカバーとは何か?
加速ポンプはスロットルを急開した際にガソリンを補助噴射する機構で、キャブレターの一部です。そのカバー部はポンプ内部の圧力を保持し、適切な燃料噴射を制御しています。
構造上、このカバーにはダイヤフラムやOリングなどのゴム部品が使用されており、劣化するとガソリンがにじみ出たり漏れたりする可能性があります。つまり、加速ポンプカバーからのフローは“あり得る現象”です。
よくある加速ポンプからのガソリン漏れ原因
以下のような要因で加速ポンプからの漏れが発生することがあります。
- ガスケットやダイヤフラムの劣化:年数経過や燃料による劣化でシール性が低下。
- カバーの締め付け不足または歪み:均等に締めていない、締め過ぎて歪んでいる。
- 内部の加圧漏れ:ポンプ作動時に圧が逃げて内部から滲み出る。
加速ポンプは稼働時に圧力が発生するため、シールが不完全だと少量のフローが起こることは珍しくありません。
フロートカバーと加速ポンプカバーの見分け方
フロートカバーからの漏れと間違えやすいので、見分け方も重要です。以下のような観察で判断します。
- 漏れが発生するのがアクセル操作後であれば加速ポンプ由来の可能性が高い。
- エンジン停止中にもジワジワ漏れてくるならフロートバルブの不良やオーバーフローの疑い。
- 加速ポンプの付け根やビスからにじみがあるなら、カバーのパッキン不良が疑われます。
ペーパーウエスで拭き取りながら再観察すると、漏れの出所が見えやすくなります。
対処方法と修理ポイント
加速ポンプからの漏れに対しては以下のような修理が効果的です。
- ガスケット/ダイヤフラムの交換:純正部品か対応するリビルドキットで新品に。
- 接合面の清掃と研磨:ガソリン垢やゴミが密着性を下げるため清掃が必須。
- トルク管理して均等に締める:カバーが歪まないように対角締めで。
加速ポンプ単体でのOH(オーバーホール)キットが販売されている車種もあるため、部品調達は比較的容易です。
実例:加速ポンプカバーのガソリン漏れ事例
あるユーザーは、SUZUKI GS系バイクで加速ポンプからの漏れを経験。原因は長期放置によるガスケットのひび割れで、再始動時にガソリンがにじみ出るトラブルに遭遇しました。
純正のダイヤフラムキットに交換し、軽く耐油グリスを塗布して再組付けしたところ漏れは完全に止まりました。
まとめ:加速ポンプからの漏れは珍しくないが早期対処を
加速ポンプカバーからのガソリンフローは構造上十分にあり得ます。軽視して放置すると燃費悪化や火災リスクにもつながるため、早めの点検・修理をおすすめします。定期的なパッキン・ダイヤフラムの交換はキャブ車オーナーの基本メンテナンスといえるでしょう。
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