エンジンオイルの代わりにサラダ油を使うとどうなる?潤滑油の違いとエンジンへの影響を徹底解説

車検、メンテナンス

車やバイクのエンジンに欠かせないのがエンジンオイルです。しかし、「油は油だから、食用のサラダ油でも代用できるのでは?」と考える人も少なからずいるようです。この記事では、サラダ油とエンジンオイルの本質的な違いや、実際に代用した場合に何が起こるかについて、科学的な視点と実例を交えて解説します。

エンジンオイルとサラダ油の基本的な違い

エンジンオイルとサラダ油は、見た目こそ似ていますが、目的と成分がまったく異なります。エンジンオイルは高温高圧に耐え、摩擦を減らし、酸化や腐食からエンジン内部を守るために設計されています。一方、サラダ油は食品用であり、低温での調理や加熱に対応するものです。

サラダ油は植物油が主成分で、加熱により容易に酸化・劣化し、粘度が変化しやすくなります。また、不純物や水分が含まれていることもあり、エンジン内部に悪影響を及ぼします。

サラダ油をエンジンに入れたらどうなるのか

結論から言えば、エンジンが深刻なダメージを受ける可能性が高いです。潤滑性能が不足しているため、ピストンやクランクシャフトなどの金属パーツが直接摩擦を起こし、異常摩耗や焼き付きが発生します。

また、サラダ油は高温下で焦げ付きやすく、エンジン内部にカーボンやスラッジが大量に残留し、オイルラインを詰まらせたり、冷却効果を低下させる危険性があります。最悪の場合、数分でエンジンが停止し、修理不能になることもあります

実験例:サラダ油を使ったエンジンの末路

YouTubeなどでは、実際にサラダ油をエンジンに入れてテスト走行する動画もありますが、多くは数分でエンジン音が異常になり、白煙や焼き付きの兆候が見られます。

ある動画では、1.5Lエンジンにサラダ油を入れてアイドリングさせたところ、10分後に回転数が不安定になり、15分で停止。その後の分解では、ピストンが焼き付いており、シリンダー内に焦げた油の跡が残っていました。

「潤滑油」としての違いを技術的に理解する

潤滑油には「粘度」「酸化安定性」「洗浄分散性」「添加剤の効果」など多くの性能が求められます。エンジンオイルにはそれらを補うために、清浄剤、酸化防止剤、防錆剤、摩擦調整剤などが添加されており、過酷なエンジン内部でも安定して機能するようになっています。

一方、サラダ油にはこうした添加物は存在せず、高温高圧環境にまったく適していないため、エンジンへの使用は非常に危険です。

緊急時にどうしてもオイルがない場合の対応策

どうしてもオイルがない状況下で応急的に動かす必要がある場合、サラダ油ではなく、汎用潤滑油(例:農機用・コンプレッサー用など)を使う方がまだ安全です。ただし、これはあくまでも緊急の一時的措置であり、すぐに本来のエンジンオイルに交換することが前提です。

また、JAFやロードサービスを呼び、エンジンを動かさずに修理工場まで運ぶ方が、長期的に見てコストが抑えられる場合もあります。

まとめ:サラダ油はエンジンに絶対NG。違いを理解して正しいオイル管理を

見た目が似ているからといって、サラダ油とエンジンオイルはまったくの別物です。たとえ一時的にエンジンが動いたとしても、深刻な損傷を受けるリスクが極めて高いため、絶対に代用は避けるべきです。

エンジンオイルは車の“血液”のような存在。品質の良いものを、適切なタイミングで交換することが、愛車の寿命を延ばすもっとも確実な方法です。

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