中古車市場や個人売買が活発化する中、車やバイクを修理・レストアして転売する人が増えています。特にSNSやフリマアプリの普及により、個人でも販売しやすくなりました。しかし、整備士免許を持たずに整備や販売を行うことには法的リスクが伴います。本記事では、法的観点から「どこまでが合法で、どこからが違法か」についてわかりやすく解説します。
整備士免許の有無と整備作業の範囲
まず理解しておきたいのは、整備士免許はあくまで「業として」整備行為を行う場合に必要である点です。自分の趣味で整備や修理を行う分には、免許がなくても違法ではありません。
ただし、その整備を行った車を有償で第三者に提供する場合、営利目的と判断される可能性が高く、整備士法・道路運送車両法・古物営業法などの複数の法律が関わってきます。
転売目的での修理と「業として」の判断基準
「業として」とは、反復継続して収益を上げる目的で行う行為を指します。たとえば、1台や2台の車を趣味で直して売却する程度であれば問題視されない場合もありますが、台数が多くなったり、継続的な収入を得ている場合は「業」と見なされる可能性があります。
実際の判例でも、「継続的に数十台を販売していた個人」が無許可営業として摘発された例があります。
古物営業許可は必須になる可能性
中古車や中古バイクを仕入れて売る行為には、古物営業法に基づく「古物商許可」が必要です。これは整備士免許とは別の許認可制度で、警察署経由で取得します。
古物商許可なしで販売を繰り返すと、無許可営業として処罰の対象になる恐れがあります。
特にメルカリ・ヤフオク・SNSなどのプラットフォームでも、頻繁な出品はチェックされやすくなっているため注意が必要です。
修理した車両の安全性と瑕疵担保責任
個人売買であっても、修理内容に不備があり、事故や故障が発生した場合には、民法上の「瑕疵担保責任」を問われる可能性があります。特にブレーキや足回りなど、安全性に直結する部品の整備をしている場合はリスクが大きくなります。
プロとしての資格がなくても、購入者が「安全な車」として信頼していた場合、トラブルにつながるケースが後を絶ちません。
販売行為のプラットフォームと規約上の制限
ヤフオクやメルカリなどでは、販売者が業者に該当する場合、事業者としての登録が求められることがあります。実際に規約違反でアカウントが停止された事例もあります。
また、購入者とのトラブルが起きた際に、事業者か個人かによって対応義務が異なるため、想定以上の責任を負う可能性がある点も認識しておくべきです。
まとめ|趣味の延長か、ビジネスかが分かれ目
整備士免許がなくても、車やバイクの修理・レストア自体は違法ではありません。しかし、販売目的で繰り返し行う場合は「業」と見なされるリスクがあり、古物営業許可や整備士資格が必要になる可能性があります。
安全面や法令遵守の観点からも、副業や趣味の域を超えるようであれば、適切な資格・許可を取得することをおすすめします。
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