ネットショッピングで「安いHIDも高級HIDも、車検に通った/通らなかった」というレビューが混在していて、どれが“当たり”でどれが“ハズレ”か迷っている方も多いでしょう。今回はHIDヘッドライトが車検に“通る/通らない”背景を、制度・車両構造・選び方の観点から整理します。
車検でチェックされる「ヘッドライト」の基準
まず、ヘッドライト(前照灯)は、保安基準によって「色」「光量・光度」「配光(カットライン)」「光軸」「取付位置」などが定められています。たとえば「白色」または淡黄色の光が許容され、極端に青みがかったライトなどは不適合となる可能性があります。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
また、最新の検査ではロービームの配光がきちんと“対向車を眩しくさせないように”カットラインが出ているかが注目されています。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
なぜ「車検対応」と書いてあっても通らないHIDがあるのか
「車検対応」「保安基準適合」などの表記があっても、実際には車検に落ちる理由には次のようなものがあります。
- 装着車両との適合性(リフレクター・レンズ・形状):純正ではハロゲン用のリフレクター設計なのに、後付けHIDを入れると配光が乱れ、検査ポイントで不合格になることがあります。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
- 光量・光度が基準を満たしていない:レンズの黄ばみ、バルブ・バラストの劣化、電圧低下などで光量が落ちると車検不合格の原因になります。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
- 色温度・色味が基準外:青白すぎる(高ケルビン)HIDは「眩しすぎ」と見なされる可能性が高く、検査官によって「白色」と認められないケースも。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
- 光軸・配光(カットライン)が不適切:HIDを入れただけで光軸がズレたり、カットラインがぼやけたりすると車検に通りません。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
つまり、安物・高級品にかかわらず「装着方法や車両の構造に適合していない」「検査基準を満たしていない」モノが“ハズレ”になるわけです。
実例:なぜ「安物でも通った」「高級品でも落ちた」のか
次に実例を挙げて、原因をイメージしやすくしましょう。
例 1:低価格HIDを購入し、ハロゲン用のヘッドライトユニットにそのまま取付。見た目は明るかったが、検査では配光が乱れ「ロービームのカットラインが出ていない」として不合格。レンズが古く黄ばんでいたのも影響。 → 安物だけど“通った”というレビューもあるが、車両が比較的新しくレンズ状態も良ければ運が良かったケース。
例 2:高価格の“車検対応”HIDを導入。でもリフレクター形状やバルブ座の位置が微妙に異なり、光軸調整をせずに検査へ。結果、光が対向車側へ上がってしまって「眩しさ」が問題となり不合格。 → 「高いから安心」というわけではないという典型。
HIDを選ぶ・施工する際のチェックポイント
機器を選ぶ/施工する/車検前に確認する際のポイントを以下に整理します。
- 適合マーク・認証表記を確認:製品に「保安基準適合」「Eマーク」「車検対応」などの表示があるか。ただしそれだけで安心せず次の項目も確認。
- 車両仕様との適合性:自車が純正ハロゲン仕様か純正HID仕様か、リフレクター・ユニット設計が何かを確認。ハロゲン設計に後付けHIDを入れるのはリスクがあります。:contentReference[oaicite:7]{index=7}
- 色温度(ケルビン数)の確認:目安として約4 000〜6 000 K程度が「白色」と判断されやすい範囲。極端な青白さは避けるべきです。:contentReference[oaicite:8]{index=8}
- 取り付け・光軸調整:リフレクターからバルブが適切な位置にあるか、バラストや配線が適正か、ヘッドライトユニットの固定状態もチェック。検査前にテスター屋で光軸・カットラインを確認するのが安心。:contentReference[oaicite:9]{index=9}
- ヘッドライトユニットの状態確認:レンズの黄ばみ・曇り・傷、リフレクターのメッキ劣化などがあると光量低下の原因になります。:contentReference[oaicite:10]{index=10}
結論:安物が必ずダメ、高級品が必ず通るわけではない
結局のところ、「安物のHIDが通らない」「高級品なら通る」という単純な構図にはなりません。重要なのは“自車の仕様に適合しているか”“取り付け・調整が適切に行われているか”という点です。
したがって、購入前には価格だけでなく、メーカーの信頼度・製品の適合性・取付環境をよく確認し、取付後は車検前の点検・光軸調整を怠らないことが、車検通過率を大きく引き上げます。
まとめ
HIDヘッドライトの車検通過に関するポイントを整理すると以下の通りです。
✔ 光量・光度、✔ 色味・ケルビン数、✔ 配光・カットライン、✔ 光軸・取り付け精度、✔ ユニット・車両の整合性
安くてもこの条件が満たされていれば「通る」ケースがありますし、高くても条件が満たされなければ「通らない」ケースがあります。レビューで“通った”“通らなかった”が混在しているのはこのためです。車検を確実にクリアしたいなら、価格だけではなく“仕様/施工/調整”という流れを意識しましょう。


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