オートバイフレーム内部の錆びはなぜ起こる?電着塗装の限界と防錆対策を詳しく解説

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オートバイのフレーム内部は電着塗装(カチオン電着)によって錆びにくく処理されていると思われがちですが、それでも内部からの錆びが発生するケースは少なくありません。この記事では、電着塗装の仕組みと限界、錆びが起きる原因、そして効果的な防錆対策について解説します。

電着塗装とは?フレーム内部にも塗装される理由

電着塗装は、水溶性塗料を電気の力で金属表面に均一に吸着させる塗装方法で、自動車やバイクの製造ラインで多用されています。特にオートバイのフレームは中空構造であるため、外部だけでなく内部も電着塗装されるのが一般的です。

この方法は、スプレー塗装では届かない狭い隙間にも塗膜が入り込み、高い防錆性能と耐久性を発揮します。特に鋼製フレームには効果的で、錆びの発生を大幅に抑制できます。

それでも内部が錆びる原因とは?

電着塗装をしていても内部に錆びが発生する主な原因は以下の通りです。

  • 塗膜のムラやピンホール:電着塗装は均一性に優れるとはいえ、形状や通電不良により塗料が十分届かない部位ができることがあります。
  • 加工後の穴あけ・溶接による剥離:フレーム製作後に開けられた穴や再加工部分では、塗装が剥がれて保護されない場合があります。
  • 水分・湿気の侵入:内部に結露や雨水が侵入し、排出されずに滞留すると、局所的な腐食の原因になります。
  • 経年劣化による塗膜劣化:10年以上経過した車両では、塗膜自体が劣化・ひび割れを起こし、錆の発生が加速するケースがあります。

これらの複合要因により、「塗装済み=絶対に錆びない」わけではないという点を理解しておく必要があります。

錆を防ぐための実践的な対策

フレーム内部の錆対策には、以下のような方法が有効です。

  • 定期的な水抜き点検:ステーやグリスホールなど、内部に通じる穴をチェックして湿気を逃がします。
  • 内部防錆スプレーの施工:CRC556やワコーズのラスペネなどを内側に噴射しておくと、金属表面を保護できます。
  • ガレージ保管・除湿対策:屋外保管車両は特に湿気を受けやすいため、カバー+乾燥剤やサーキュレーターの併用が効果的です。
  • 冬期前の対策施工:特に冬場は結露が発生しやすいため、気温変化が大きくなる前に防錆処理を済ませておくのが理想です。

なお、リアサスペンション取付部やステム周辺のパイプ接合部は特に水が溜まりやすいので重点的にチェックしましょう。

長期使用を見据えたメンテナンスの考え方

10年・20年と長くバイクを楽しむためには、外装やエンジンだけでなく、見えない部分のケアが重要です。フレーム内部の錆びは一度進行すると外からは気づきにくく、最悪の場合クラックや穴あきに発展することもあります。

定期的なチェックと予防的処置を取り入れることで、大切なバイクを長く安全に乗り続けることが可能になります。

まとめ:電着塗装は有効だが「万全」ではない

電着塗装はオートバイフレーム内部の防錆において非常に優れた技術ですが、構造的な制限や経年劣化、環境要因などにより、錆が発生するリスクはゼロではありません。

そのリスクを最小限に抑えるためには、ライダー自身の定期点検と防錆処理の意識が重要です。防げる錆は、知識とひと手間でしっかり対策することができます。

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